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「うさぎとかめ」 うさぎの悲しみ

その昔から、どうもうさぎはサボり屋だと思われていて

かめに軍配が上がりがちな世の中、

わたしはうさぎとして、頼まれてもないけど

うさぎたちの名誉を挽回するために

うさぎはのんきに生きているように見えるかもしれんが、

それはそれなりに生きづらいところもあるということを言おうと思う。


うさぎは走るのが速い。それは持って生まれた性分だから仕方ない。

そう、「仕方ない」。

この競争社会では「速い」というのが一つの強みなんだろうけど、

うさぎは「ゆっくり走ることができない」のです。

うさぎは昼寝してかめに負けたと言い伝えられてるけど、

うさぎは高を括ったわけでも、かめを侮ったわけでもない。

全速力しか出ない体のつくりになっているから、すぐに疲れる。

速くしか走れないから、すぐにゴール近くまで着いてしまう。

そんな2つのことからちょっと休憩することになる。

でもそれを、サボってるとか、他人を馬鹿にしているとか言われるの。

気の毒うさぎ。


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うさぎはモフモフしてて耳も長くて何気に可愛いし、

ぴょんぴょん跳ねてそれが派手にみえる。

足も速いからちやほやされる。今の世の中で「映える」タイプなの。

そんなこともあって、「競争ごと」に駆り出されることが多い。

うさぎはほんとは競争なんかしたくない。

それでもうさぎはお人よしだから、競争するフリして場を盛り上げる。

うさぎは競争なんかしなくても、

いつだって一人でいっぱいいっぱい走るのに。

それに、うさぎはかめをライバルとは思っていない。


うさぎのライバルは「うさぎ自身」。

もうすこし細かく言うと、「過去のうさぎ自身」。

昨日よりももっといいタイムが出せたのではないか、って自分に厳しいの。

昼寝してるって見えてるけど、案外「ひとり反省会」してるのかもよ。

休憩してるようでも、反省会なんかしたらまた疲れるね。


うさぎの周りが「競争」をけしかける。

競争という仕組みがないと、「ほんとのサボり屋」さん達は奮闘しなくて

社会がうまく回らなくなるから。


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うさぎが自分に自信が持てるのは

かけっこでいい成績が取れたときではない。

うさぎが「自分もイケてるかも」と思えるのは

この繊細な生きづらさに共感してくれる人といるとき。

うさぎは伝説ではさみしいと死んでしまう生き物らしい。

あくまで伝説だけど、ほんとにそう思うの。

うさぎは理解者がいないと死ぬほどさみしくなる。

そんな人とお話をすると、エネルギーをもらうことができる。

うさぎはおしゃべりすることが大好き。

良いおしゃべりは頭の中が気持ちいい。

空想がどんどん広がって楽しいことが止まらない。

そんな楽しい空想は、どんな人もやってるんだと思っていたんだけど

どももそれもうさぎの才能らしい。


うさぎはかめと競って負けることには感じ悪く思わないけど、

「無意味な競争を煽ってくるやつ」にはめちゃめちゃ感じ悪っ。と思ってる。

うさぎはさっきも言ったように愛らしくお調子者なので人気がある。

休憩してることが多い(多く見える)から、いろんな人が話しかけてくる。

人がいい(うさぎがいい、か)から感じ悪いやつにも応答していたんだけど

彼らは「エナジーバンパイア」といってうさぎのエネルギーを吸い取るのだった。

競ったり、煽りに応戦して疲労するのはやめよう、

そんなことに気づいたのはうさぎの人生にとって転機だと思う。


うさぎは、かめとかけっこで戦わない。

なんとなくいるなぁという距離感に存在しあう感じでいたい。

誰とも競争しない。自分自身にもダメ出ししない。

そんなうさぎにうさぎはなりたい。



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