その3 とにかく掘って掘って掘りましょう
年末にちらほら雪が降り、続いていつもの如くどかっと降ったり止んだり。
さらに、2月になってやってきたのは氷の世界。たまにあるんです。
雪じゃなくて氷が降ってきて、もうすべてがキンキンに冷えまくって、
世界はしばしカチッカチのツルッツルの……う〜ん、凄まじいやつ。
ああ、その新しいつらら、かなり独創的ですね、とか呟いてみる日々。
溶けては伸び、溶けては伸び、のつらら記録更新もいつしか終わりを告げてもう春が来るかと指折り数えていた3月、またまた雪に閉ざされる日々。
これもありがちです、NYの「3月に雪」は特に驚くことではないんです。
それにしても一体どこまで降るのやら。
庭はもう白の大海原に早変わり、バードバスは揺れる小船状態(笑)。
でもこの風景、案外幻想的で気に入っていて、毎回写真を撮りまくり。
ここまで降ると、逆に雪の下の植物は安心だったりします。
氷にやられてしまうよりはずっといいんです。ただ春の雪は気温の関係で、
かなり重いですから、長い枝が折れるのが心配だったりはします。
翌朝。雪原の影って、これまた幻想的。しかし照り返しは半端ない感じ。
その光の強さに、雪もこれで終わりかなあと感じました。
そろそろ春の声が聞こえるような気がします。
そうそう、アメリカは気温によって細かくゾーン分けされていて、
庭に植える植物を選ぶときの参考にします。
南北でかなりの差がありますからね。(zone1~zone13)
ちなみにロングアイランドの真ん中から東に当たるこの辺りは zone7b で
1月から全米にバラを出荷し始めるオースチンのスケジュールでも、
3月にならないと動きません。雪が終わるのの様子見です。
アップステート生まれの友人は言います。NYの春は5月だ(苦笑)。
それでも4月になれば、早咲きの球根たちは目覚めの時間です。
ローズガーデンでも水仙が咲き始め、ノイバラが緑に覆われていきます。
気温の上昇を待つ、私の春のプロジェクトも、始動間近です。
まさに三寒四温を繰り返し、ついに迎えた5月。八重桜が満開になり、
ローズガーデンでは原種系のチューリップが咲き始めました。
白地に青い瞳、神秘的な眼差しのアルバ・コエルレア・オキュラータ、
ピンクの黄色、軽やかな少女のようなサクサティリス。
さあ、私も本気で始めなくてはいけません。
ゲートを開けて、重量級2輪の手押し車を引き連れ、前進。
ガーデン内にフロアーブロックを敷くため、まずは地面を掘り起こします。
一番奥、ノイバラの手前から始めたのですが、最初は楽勝でした。
けれど、半分を過ぎたあたりから何やら不穏な空気が……。
ガツガツと行く手を阻むものに出合うようになりました。
出るわ、出るわ、もうそれはそれは山のように。根っこの破片です。
30メートルはあっただろうと思われる木の根っこですから、かなり広範囲。
先端はすでに朽ち果てているのが幸いで、崩れながらもボロボロと。
地面(土)だと思っていたものは全て根っこだったのかとしばし唖然。
徐々に、そのボロボロとした感じは詰まった硬さを感じさせ始め……
もうちょっとやそっとでは掘り出せない代物になってしまいました。
そう、今だしっかりと形造られている。これはもう叩き切るしかない。
大きい角スコップを振り下ろして叩き切り、少しずつその先を辿っていけば
根っこは地下で階層になっていることが判明しました。……でしょうね。
下に、その下に、さらに大きいものが広がっているという有様。
土が崩れてわかりづらいので、水を流して、根っこの様子を改めて確認。
……これはもう、ある程度でよしとしなければいけません。
さすがに私も疲れました。まさかここまでとは思いませんでした。
前回も書きましたが、ガーデン、向かって左角は元の中央付近です。
ご覧ください、これはもう根っこではありません、岩盤ならぬ木盤。
しかもこれはほんの表層に過ぎません。ずっと下へと続いている。
現時点でこれを叩き割るのは不可能なので、徐々に朽ち果ててくれることを祈りつつ、できる範囲でガーデンの設備を進めていくことにしました。
とにもかくにも、掘って掘って掘りまくった1週間でした。
どうしようもない根っこの一部を除いて、どうにかフラットな状態に。
お疲れさま、私。しかし、これで満足してはいられません。
プロジェクトは次なるステップ、フロアー作りに突入です。
サポートありがとうございます。重病に苦しむ子供たちの英国の慈善団体Roald Dahl’s Marvellous Children’s Charityに売り上げが寄付されるバラ、ロアルド・ダールを買わせていただきたいと思います。