トンネルを抜ける、前に感動した朝

画像1 夏の高原、早朝の散歩。花が咲き、蝶がトンボが飛びかい、水が流れてる。何とも気持ちがいい時間だ。 ふと前方にトンネル。このまま行くと入ることになる。ちょっと足が止まる。暗く湿った予感。篭った空気。閉塞感がどうしても拭い去れない。目に見えない圧迫感というか。だからトンネルは好きじゃない。
画像2 近寄ってくればくるほど、うん、なかなかに趣があるじゃない(言葉をいい雰囲気方向に選択中)。自然が作り上げた見事なエージング。ああ、あれね。苔むした感が「千と千尋」? 思考は何気なさを装おうと奮闘するけれど、体は最後まで無駄な抵抗を続ける。及び腰の逃げ腰のへっぴり腰とはまさにこのこと。
画像3 そして入り口。一人残される入り口。向こうで呼ぶ人あり。トンネルを抜ければきっとまた早朝の爽やかな風が吹くはず。唇を噛み締め見上げた先にきらっ。ん?なんだろう。誘われるように一歩踏み出せば。
画像4 そこにあったのは、数万光年の彼方へと続くような開放感。輝く小宇宙。頭上のきらめきが、ちょっと先の出口を輝く未来への入り口に変える。この暗闇から逃れようと走り出さんばかりだったのに、思わず立ち止まってシャッターを切る余裕すら生まれる。現金なものだ。それでもふと思い出さずにはいられなかった。「霧のむこうのふしぎな町」を読んだ遠い遠い夏の日。夏休みって素敵なことが起こるものだって信じてたあの頃。そうかもね、いつだって踏み出した先には、思いがけない冒険の世界が広がってる。

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