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第193号(2022年10月3日) ウクライナ4州「併合」でも続く戦争

【インサイト】 ウクライナ4州「併合」でも続く戦争

ウクライナ4州を「併合」へ

 すでに広く報じられているとおり、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのドネツィク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの4州をロシア連邦に「併合」すると9月30日に発表しました。
 このうち、ドネツィクとルハンシクについては開戦前の2月21日、両地域を占拠している武装勢力(自称「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」)を国家承認するとロシアは決定していますが、ヘルソンザポリージャについてはあくまでもウクライナ量のままだったので、一旦国家承認してから「併合」するという手続きを9月29日に取っています。
 しかし、ヘルソン及びザポリージャについてはかなり急いだらしく、「独立国」としての国名は何なのか、首都はどこにあるのかも決まっておらず、州のままで国家承認するという内容になっています。これを素直に受け取ると、両州は「ヘルソン州国」と「ザポリージャ州国」として独立し、翌日にはロシア連邦に「併合」されたということになります。いかにも泥縄、という印象は否めないでしょう。
 なお、4州の「併合」に関するロシアの国内手続はまだ進行中であり、本号の発行後に「併合条約」を議会で批准してプーチン大統領が最終承認するという手順になるようです。

プーチンの「併合」演説

 ロシアが4州を併合するという話は先月から出ており、23-27日の日程で「住民投票」なるものも行われていましたから、驚きではありません。
 また、この「住民投票」はロシアの占領下で、しかも国際的な監視なしで行われたために国際的には全く承認されておらず、9月30日に開かれた国連安保理でも10カ国がロシア非難決議に賛成、4カ国が棄権という結果になりました。ロシアが拒否権を発動したためにお流れとなったのも「想定の範囲内」であり、おそらくは(ロシアが拒否権を行使できない)国連総会に持ち込まれることになると見られています。
 一方、驚きだったのは、4州の「併合」を宣言するプーチン大統領の演説です。その内容は日本でも驚きを以て受け止められていますが、以下、その「見どころ」を紹介しておきましょう。

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