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第186号(2022年8月1日) 衛星画像で見るロシア太平洋艦隊の活動状況とヴォストーク2022

【NEW CLIPS】ウクライナ軍がM270多連装ロケットを実戦投入

 ウクライナ軍に供与されたM270多連装ロケットシステム(MLRS)が実戦投入され、その映像がウクライナ国防省によって公開された。
 M270は既に実戦投入されて戦果を挙げているM142HIMARSと同じロケット発射システムを2つ搭載したもので、6月初めに英国が供与を表明していた。ウクライナ軍に引き渡されたのは7月半ばのことであったとされる。
 これと関連して6月末にはノルウェーも3両のM270をウクライナに引き渡す方針を表明していたが、今回実戦投入されたのがいずれのものであるかは明らかにされていない。

【今週のニュース】PzH2000自走榴弾砲100門をウクライナに供与へ

 ドイツ政府はPzH2000 155mm自走榴弾砲100門をウクライナに売却することに同意した。ドイツの『シュピーゲル』紙が報じ、ウクライナ国防省公式サイトでもその内容が公表されている。
 これによると、PzH2000売却の話は4月の時点で提起されており、7月13日にはドイツ政府がGoを出したものの、公表は7月末までずれ込んだとされている。売却価格は合計で17億ユーロとされ、これまでにドイツがウクライナに供与した武器の総額(6億ユーロ)をはるかに超える大型契約となる。
 ただ、100門ものPzH2000を生産するには数年かかるとされており、実際の供与がいつから始まるのかは明らかにされていない。

【インサイト】衛星画像で見るロシア太平洋艦隊の活動状況と「ヴォストーク2022」演習

消えた潜水艦隊は何をしていたか

 第181号で紹介したように、4月以降、カムチャッカ半島のルィバチー基地からは潜水艦の多くが姿を消していました。このうち弾道ミサイル原潜(SSBN)は6月までに全艦帰投したことが確認できますが、攻撃型原潜(SSN)や巡航ミサイル原潜(SSGN)が帰投したのは実に7月初頭のことでした。

 単純計算すると3ヶ月に渡る長期の作戦行動に出ていたことになりますが、これだけ多数の潜水艦が長期間航海に出るのは衛星画像によるカムチャッカ半島の観察を始めて以来のことです。

4月4日 955型SSBN2隻、667BDR型SSBN1隻、949A型SSGN3隻、971型SSN1隻と太平洋艦隊原潜部隊のほぼ全力が揃っている(Image@2022 Maxar Technologies)

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