第25号(2019年2月15日) ロシアの選挙干渉は誰がやっている?
存在感を増す「軍事大国ロシア」を軍事アナリスト小泉悠とともに読み解くメールマガジンをお届けします。
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【質問箱】ロシアの選挙干渉は誰がやっている?
このコーナーでは、読者の皆様からメールや質問箱にお寄せいただいた質問にお答えしていきます。
ご質問はメールアドレス(nuclearblue1982@gmail.com)または質問箱(https://peing.net/ja/cccp1917)までお願いいたします。
(質問) ロシアが各国の選挙や世論に対して工作を行っているという話はよく聞きますが、実際にはどの組織がやっているのでしょうか。
(小泉より)
ご質問ありがとうございます。
今回は今話題のロシアの選挙干渉についてのご質問にお答えさせていただきたいと思います。と言っても、これは私もまだ勉強中のテーマですので、あくまでも暫定的なものということでご理解ください。
選挙干渉や世論工作といっても様々ですが、その非合法サイバー工作部分を担っているのは連邦保安庁(FSB)と参謀本部情報総局(GRU)であると見られています。
前者の母体は旧KGB(国家保安委員会)の第2総局、つまり国内保安を主任務としていた部署ですが、のちに通信傍受などを担当するFAPSI(連邦政府通信情報庁。旧KGB第16総局)を吸収したことで強力なサイバー戦能力を備えるに至ったとされます。
後者はロシア軍参謀本部直轄の諜報機関で、昨年英国で殺害されたスクリパリ氏の所属していた機関です(スクリパリ事件についてはこちらのフォーサイト記事を参照のこと)。
両者はハッキングによって米国の民主党や共和党のメールサーバーに侵入し、クリントン候補にとって不利な情報を盗み出そうとしていたと見られており、このこと自体はよく知られています。
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