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DEEP DIVE

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日本発の公開情報インテリジェンスを目指すプロジェクト「DEEP DIVE」のパイロット版です。衛星画像や公刊物から得られた安全保障上の知見を広くシェアしていきます。
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#軍事

北朝鮮海軍の動向など(日本海側)

北朝鮮海軍の動向など(日本海側)

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに 前回に新浦南造船所における新潜水艦の建造の兆候を世界に先駆けてお知らせしましたが、今回はその続報を含めて日本海側の北朝鮮海軍艦艇(東海艦隊の艦艇)の動きなどを衛星画像を交えて紹介します。

新潜水艦建造の続報など 結論としては、「現在も継続して建造の動きがキャッチされている」ということになりますが、興味深いことに、昨年9月に北朝鮮が進水させた戦術核

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北朝鮮・南浦における造船所の動き

北朝鮮・南浦における造船所の動き

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに 南浦特別市は北朝鮮西部の黄海に面する主要都市として知られており、同市には北朝鮮有数の造船所として知られる南浦造船所が存在する。そこで軍用艦艇の建造が行われているだろうことは言うまでもないが、北朝鮮西部で「大型軍用艦艇」を建造可能な唯一な場所であることは見落とされがちである。
 今年8月28日の「海軍節」に北朝鮮の金正恩総書記が海軍司令部を祝賀訪問、

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北朝鮮の無人機基地となるか?方峴飛行場と航空機工場などを考察する

北朝鮮の無人機基地となるか?方峴飛行場と航空機工場などを考察する

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに 2023年7月27日に平壌で実施された軍事パレードとその数日前に開催が始まった「武装装備展示会-2023」で、以前に当DEEP DIVEにて発表された無人機と思われる「明星-9」多目的攻撃型無人機と6月に衛星画像でキャッチされた「明星-4」戦略無人偵察機が登場しました。
 これらの無人機は、どちらもアメリカの「MQ-9 "リーパー"」と「RQ-4

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北朝鮮が主張する「領空侵犯」及び対応措置の信憑性について

北朝鮮が主張する「領空侵犯」及び対応措置の信憑性について

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに 7月10日、朝鮮中央通信は、北朝鮮の国防省が「米軍の無人偵察機が領空侵犯した」という談話を出したことに続いて金与正朝鮮労働党副部長がその詳細と対応に関する談話をリリースしました。

 一連の声明・談話では、「スクランブルで米軍機を追い払った」との対応のほか、1969年に米軍のEC121電子偵察機を撃墜した件や2003年に戦闘機がRC-135偵察機を

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10年以上の時を越えて:北朝鮮の新型コルベットの就役が確認された

10年以上の時を越えて:北朝鮮の新型コルベットの就役が確認された

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに

 北朝鮮海軍の水上艦の動向については世間どころか艦船マニアからも一切注目されておらず、一部の熱烈なウォッチャーのみが追い続けているのが現状です。
 今回は著者が10年以上も動向を注目してきた新型の「トゥマン」級コルベットが遂に人民軍の基地に配備されたことが確認されたため、詳細を交えながら紹介いたします。

トゥマン級コルベットとは

1 概要

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断念?それとも完成?10年以上も造船所内に放置された北朝鮮の新型ミサイル艇の動き

断念?それとも完成?10年以上も造船所内に放置された北朝鮮の新型ミサイル艇の動き

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに

北朝鮮の海軍と言えば、潜水艦や旧式の小型艇というイメージを抱く方が多いと思われますが、以外にも北朝鮮は2000年以降から新型ミサイル艇やコルベット(注:ミサイル艇以上フリゲート未満の戦闘艦)などをスローペースで建造してきました。
今回は北朝鮮で10年以上前に建造が始まるも、最近になって依然として完成していないことが判明したミサイル艇を解説していき

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エチオピア首脳が北朝鮮起源の軍用無線機を使用している画像について

エチオピア首脳が北朝鮮起源の軍用無線機を使用している画像について

亜覧澄視

1 はじめに

  令和4年11月11日に当DEEP DIVEで「エチオピア首脳が北朝鮮起源の軍用無線機を使用している画像について」というレポートを寄稿・発表されましたが、追跡調査の結果、エチオピアのアビー・アハメド・アリ首相自身がマレーシアに拠点を置く北朝鮮の軍用無線機輸出のフロント企業Glocom(グローコム)の「GR-310」UHF/VHF/衛星無線機を使用していた事実が判明しま

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北朝鮮の軍事パレードはいつ実施?平壌の衛星画像を分析

北朝鮮の軍事パレードはいつ実施?平壌の衛星画像を分析

亜覧澄視、小泉悠(@OKB1917)

はじめに

 2022年12月の時点で北朝鮮が平壌で軍事パレードを準備している旨の報道や分析が盛んになされていますが、その後の続報を聞きません。
 北朝鮮は「国防5か年計画」に基づいて新型ICBMなどの開発を目標としていることから、次回の軍事パレードでそうした新型兵器(またはそのモックアップ)が登場する可能性があるため、その内容には大いに注目されます。  

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