ライターの「役に立ち方」の多様性に驚いたので、ちょっと共有しようと思う
ライターになって半年。
さまざまな方から知見を共有いただいたり、アドバイスいただいたりして、なんとか生き延びることができました。ありがとうございます。
早速ですが、ここに来てチルはキャリア迷子になっております。
専門性が無い。専門を作ってもすぐ飽きそう。
そろそろ、取材にもコミットしたい
1回、インハウスライターを経験すべきでは?
ディレクションも楽しいな
マーケティングや広報も好きなんだよねえ
巷ではよく「ライターは専門性をつけよう」と言われています。例えば金融系ライターとか、恋愛系ライターとかですね。
……が、私は「好きなこと」が安定しません。これは個人の話かと思いきや、ライターさん達と交流すると「私も飽き性です!」という方のなんと多いことか!
ライター/編集の求人もちらほら見ているのですが、応募条件に「なんでも興味を持てる人」と書かれていることもありました。
もしかして、ライターって
興味の対象が広くて
細かい事務作業が苦手で
短期記憶が苦手で
知的好奇心が強め
そんな人たちが、多いのかもしれない。
だったら尚更、飽き性が多い業界で「専門を決めろ」というのは、結構酷な面もあるのでは…?
……そんなことを、ライター研究所の江郷さんに伝えたところ「専門性は、必ずしも必要じゃないと思います。色々な役の立ち方がありますよ!」と教えて頂きました。
どんな所でバリューを発揮できるか
「ライターって、文章が上手ければいいんでしょう?」と言われることがあります。
でも、やっぱり、今考えても、うん、絶対、そんなことない。
ライターが文字を書く前にはクライアントとのコミュニケーションがあります。企画があって、情報収集があります。色々揃えるのが先で、文章は最後です。
私はライターさんとコミュニケーションをとるうちに、この「文章以外の能力」に、ものすごく多様性がある気がしました。
半年程度の知見ではありますが、「ライターのスキル」を、細かく分類してみました。これらがまぜ合わさった結果多様性を産んでいるんじゃないかなーと思ったので、1つずつ語ってみようと思います。
①専門性
これはもう説明は必要ありませんね。専門性のあるライターさんは評価されやすい。よく言われています。
あくまでこれは私の持論ですが、専門ライターさんは「文を書ける専門家」に限りなく近いんじゃないかと思います。
例えば、ヘアライターの佐藤友美さん。彼女は美容師相手に講演をするそうです。ここまで来たら「ヘア業界の専門家」と言っても過言では無いですよね。
実際のところ「ライターと専門家の垣根は、限りなく曖昧なのではないか」と感じています。
②取材
取材です。取材も文章力とはまた違う筋肉を使う気がしています。
この間、江郷さんからこんな話をお聞きしました。
た、確かに…取材が苦手なライターは多いので、分業すれば「使えるライター」が一気に増えます。高品質な取材だけじゃなく人材不足も補えるなんて、価値の塊!!
③整える
校正/校閲者です。ここも「文章」と「ファクト」で二軸があるから難しい…
企業メディアではライターやディレクターが校正校閲を担当することもあるので「自分でも書けるし、チェックもできる」人は助かる存在です。
ここに「相手のモチベを下げないフィードバック」があると最高!離職が下がり教育もできるので、経営的にも助かりますよね。
④提案できる
主に企画を提案する人達です。
私もクライアントから「企画出しお願いします」なんて言われるのですが、正直負荷が大きいので企画を出せる人は本当にありがたい。
企画出しって地味ですが「編集部の意向を組む」「読者理解の深さ」「流行のキャッチアップ」などの地盤が必要で、意外とたいへんです。
⑤人を巻き込める
取材対象者にサクッと近づける、カメラマンやイラストレーターなどの知り合いが多い、監修者を引っ張ってこれる……
このように、人脈でもコミュニケーション力でもいいのですが……人を巻き込んで引っ張ってこれるライターさんって、ありがたい気がします。
ライターに限らず、人のアサインって大変なんですよね。よく他業種の方からは「ライターってどうやって探すの?」と思われているそうですが、こちらも同じです。他業種の人を探すときは「どこにいんの?」からスタートしなくてはなりません。
よく大手企業には「親が重鎮なら入社できる」なんて噂がありますが、人脈のパワーを考えるとずるいとも言いきれないというか、合理的採用ですよね。
⑥業務フローの構築ができる
これは本来ディレクターや編集者の仕事かもしれませんが……
編集体制が整っていない企業の場合、ライターの管理方法、発注と請求の流れ、レギュレーションの共有方法などがふわふわになっていることがあります。
このようにふわふわだと、アサインされたライターは右往左往し、コミュニケーションコストがかかり、とても非効率です。作業負荷も大きいので、離職率も上がってしまいますよね。
ここで「せっかくだから、作業の流れ(フロー)を作りますよ~」と言える「1人ライター」はとても強いと思います。
実は、私も失敗したことがあります。1人ライターとしてアサインしたのですが、社内に編集体制がないため、記事チェックを担当者さんに直接お願いしていました。
しかし、担当者さんには他の仕事があります。
編集基盤が整わない企業に営業をかけてしまったこと、そして基盤を整えないまま「企画と記事」に取り掛かってしまったことにより、仕事を巻きとるどころか右往左往してしまい、お互いに疲弊してしまいました。
絶対編集部が必要…!ってことはないと思いますが、1人ライターなら企業に将来のビジョン(記事の量はどのくらい増やしていくか?予算は?ライターの追加アサインは考えているか?メディアに求める効果は?)を教えてもらうと、編集部の必要性が見えてくるかもしれません。
⑦執筆がとにかく早い
悲しかな、世の中には突然連絡がつかなくなってしまうライターさんもいます。
納期2日前、突然連絡が途絶えた…!!
こんな時「巻取ります!」と言ってくれるライターさんの、なんとありがたいことか。
「この人は短納期でも快くやってくれる」という心理的安全性はえげつないです。
もちろん、短納期はよくないのだけど。お願いだから飛ばないでください。
⑧マーケター
カスタマージャーニーがどうとか
CRMがどうとか
回遊率がどうとか
「もはやwebマーケターだよね?」というライターさんです。
ライティングとマーケティングはひたすら相性がいいのもあり、施策から関わりつつも現場を知っているライターさんは求められている気がします。
よくしらないけど、募集でよく見るもん
⑨インフルエンサー
インフルエンサー的ライターさんは、その影響力の強さからPR依頼を貰っていますよね。
有名な方だとヨッピーさんとか。
そもそも、メディアはPVや購読数を増やしたいわけですから、大量の観客を連れてこれる人はめちゃくちゃ求められているように思います。
雑誌でも「表紙を飾る芸能人が誰か」で売上が変わりますし、依頼しただけで一定の読者を見込めるって、凄いことですよね。
⑩検証系
私はやったことないのですが
「もし○○をしたら、○○になるのか?」
みたいな企画だった場合、企画に沿った検証作業が発生します。LDKとかがやっているイメージ。
リサーチ工数が莫大にかかったり、丁寧な検証が必要だったりした時は、めげずにやり切る根気力と責任感が試されそうです。
あと、
化粧品系の検証だったら「荒れない肌」
食べ物系なら「強い胃」
面白系なら「恥じない心」
も重要ですよねきっと。生まれつき要素がデカすぎる。
みんなちがって、みんないい
こうしてみると「文章が書ける」ってかけあわせがしやすい、汎用性の高いスキルなんだなあ……と感じます。
仕事をしていると他のライターさんと比べて、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
だけれど、きっと価値の与え方は無限通りあるし、キャリアの築き方も無限通りある。
周りを見ながら、そして自分の頭で考えながら「役に立てるライター」になりたいものです。
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