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GLOBE・GLOVE(4)
4
四年生になったとき、初めて美緒と別のクラスになった。逆に言えばそれまで偶然が続いていたわけだが、各学年に二クラスしかない小さな学校だったので、そんなことも珍しくなかったのだ。
僕の小学校では、高学年からクラブ活動が始まる。僕は、新しいクラスメイトと一緒に野球部に入る事にした。もちろん、運動能力を上げるためだ。運動神経に自信のある男子は、サッカー部か野球部に入るものと相場が決まっていた。
入部して初顔合わせのグラウンドで、僕は後ろから肩を叩かれた。
「私も野球部に入ったよ」
美緒だった。僕は驚いた。確かに世の中には野球をする女の子も増えているが、この野球部には他に一人も女子はいなかったからだ。もっとも、ドッジボールでの美緒をみんな知っていたので、誰も冷やかす者はいなかった。
僕らの野球部は、四、五、六年合わせても十五人。少人数ではあったが、顧問は厳しい指導で有名だった。
その顧問がグラウンドに姿を見せたとき、美緒は駆け寄って訴えた。
「先生、私、ピッチャーやりたいです」
いきなりの美緒の言葉に、先生はちょっと戸惑ったようだったが、すぐにニヤリと笑った。
「笹島、ピッチャーは、野手とはメニューが違うぞ。それでもええか。俺は女の子やからって手加減したりせえへんぞ」
その言葉が、かえって美緒の負けず嫌いに火をつけた。そして僕は、その後のポジション決めで、半ば強制的にキャッチャーをやる事にさせられた。もともと人がやりたがらないポジションの上、他のみんなは美緒のボールを受けるのを何となく避けたからだ。
こうして僕たちは、バッテリーになった。
そんなわけで、実は野球小説でした。
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