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ナナメさん #007 イソカカさん

おしゃれなカフェを経営しつつ、自分のハーブティーのブランドを持つイソカカさん。こんな生活に憧れる方も多いのでは。しかし、ここに至る道は決してまっすぐではなかったそう。九州の田舎から始まったイソカカさんのストーリー、ぜひお読みください。

イソカカさんのプロフィール

・32歳・女性・熊本県出身

・通った学校:県立高校普通科、公立大学法学部

・部活動:バスケットボール、ギターマンドリン部

・好き(得意)だった教科:国語
・嫌い(苦手)だった教科:数学

・卒業後の略歴
広告代理店営業→職業訓練→販売員→カフェオープン→個人ブランドスタート

・現在の家族構成:夫、息子、娘

・趣味:漫画

・休日の過ごし方:こども達と近所で遊ぶ

・おすすめの本:デルフィニア戦記

イソカカさんマルシェ

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「個がなかった」学生時代

――イソカカさんは熊本県のご出身なんですね。高校選びの際、候補になった学校はどれくらいありましたか?

高校は一択でしたね。電車が一時間に一本しかないようなところに住んでいたので、通える範囲で進学校と呼べるのは一校だけでした。

――進学校にお進みになったということは、その頃から大学進学についても考えていたのですか?

そうですね。2つ上の兄が既にその高校に通って大学進学を目指していたので、自分もそうなるのだと漠然と思っていました。

――なるほど。では高校卒業後の進路について具体的に考え出したのは、いつ頃からですか?

大学や学部について考え出したのは、2年生の進路相談あたりからです。
とにかく数学が苦手だったので、高校入学時の文理選択で文系を選んでいました。芸術や演劇に興味があったので、早稲田大学の第二文学部に行きたいなと思いました。
でも担任の先生から「学校のルールとして、私立は受けるべきではない。国公立一本でいこう」「文学部は潰しがきかないので就職に有利な法学部にしよう」と言われて、結果、九州内の国公立大法学部に絞りました。

――え~!ご納得されたんですか…!私だったら「何おぅ!?」ってなりそう(笑)

今思うと、すごいこと言われたなと思います(笑)
納得というより、個がなかったというか…。「良い子であること」が1番に来てしまったんだと思います。

――そうして選ばれた大学は、通ってみていかがだったのでしょうか?

これが、自分には合っていたと思います。北九州市立大学法学部政策科学科に入学したのですが、学科の人数が50名と小規模で、教授が独特な人が多くて。学習環境にも恵まれていましたし、サークル運営が学生自治で自由だったところも気に入っていました。
ほどほどに都会に近くて、田舎から引っ越してきた自分には、いきなり大都会に出るよりも段階を踏めてよかったと思います。

――結果的に良かったのですね!

担任はその辺も分かっていてアドバイスをくれたのかもしれません。その後の就活では都会に出て大変な思いをしたので…。

不況の中、内定を獲得!しかし体調を崩し…

――就職は大きな都市を考えていたんですね。地元での就職はお考えにならなかったのですか?

地元に帰るならもう公務員しかないよ、とよく言われていました。
実際あまり調べもしなかったので、地元での就職は何となくナシだったんだと思います。
それから、ゼミの教授(大阪出身)に「やりたいことがない」みたいな話をしたら、「一度たくさんお金を稼いでみたら?大阪向いてるよ?」と言われて。当時、父が長く関西勤務だったこともあって、大阪中心に就活をしました。

――九州といえば福岡もありますが、大阪メインだったのですね。

福岡も何社か受けましたが、落ちましたね(笑)
ちょうどリーマンショックの年で、採用見送りもありましたし、同級生の中には卒業延期したり、専門学校や院に進路を変えたりする人も多かったです。こないだ「就活終わった!」って喜んでた子が、企業から連絡がきて青ざめてたり…。
そんな中、大阪の広告代理店に何とか通って。嬉しくて、他の選考途中のところを全部お断りして決めました。

――めでたく決まった就職ですが、しばらくお勤めになった後、退職されることになったんですね…?

心身症を患ってしまい、ちょうど1年勤めて退職しました。仕事自体は向いてなかったとは思わないんです。ただ、メンタル的に重荷が来たところに深夜残業が重なると耐えられなかった、という感じで…。未熟でした。

――未熟なんて!理想をそれだけ高く掲げていたということではないでしょうか。

「良い子」であろうとしていた部分はありました。
「高校の時は個がなかった」と言いましたが、成人してからも、上司や先輩に褒められることを重視しすぎて、自分のやりたい事とかをホントの意味で考えられなくなってました。退職を機に、少しずつ自分を取り戻していった感じがあります。

――そうだったのですね。でも、ご自分と向き合うことができたという点では、いい機会でもあったのかもしれませんね。

職業訓練を経て、新たな道と出会う

――退職後は、しばらく休まれたのですか?

一カ月ほど休んだあと、職業訓練の募集があったのですぐ応募しました。

――なぜ職業訓練を受けようと思われたのですか?何か身につけたい技術があったのですか?

二つ理由があって、間を置かずに就職活動をするには精神的な回復が十分ではなかったこと、それから大学時代一人暮らしをしていて料理を褒められる機会が結構あったので、その方面の知識や技術をつけたいと思ったことから、職業訓練を受けることにしました。

――おぉ!調理を学ばれたんですね!

それが、入ってみたらこの学校、ちょっと予想と違っていて。
ガッツリ調理を身につけるというよりは、主に食養生、穀物菜食を伝える学校だったんです。それからテーブルコーディネートやお茶の歴史・煎れ方、ハーブについても教えていました。

――入ってみないと分からないこともありますよね…。あ、でもここでハーブと出会われたのですか?

ハーブに対しての興味はその前からありました。大学時代の友人がハーブを育てていて、一緒に精油を使った化粧水などを作っていたので。
それから少しずつ興味は増していたのですが、職業訓練校の友人から「大阪にメディカルハーブの専門店があって、そこの入社研修だけでも受ける価値がある」という話を聞いて。まだ訓練校に在学中でしたが、その会社の入社試験を受けてみることにしたんです。

――興味のある会社と出会えたのですね。それで結果はどうだったのでしょうか…?

受かりました。そして卒業まで待つと入社が遅くなってしまうため、職業訓練校は退学して入社しました。その頃はもう働きたい気持ちが強かったので、卒業資格より入社を取りましたね。

イソカカさんお茶

結婚し、カフェ開業、そして妊娠出産!怒涛の生活を乗り切った

――そして販売員さんとして働かれたわけですが、その後、どのようにカフェ開業へと繋がっていったのですか?

カフェを開いたのは結婚後です。これには主人の実家が大きく関わっていて。
主人の実家は会社経営をしていました。結婚する直前に主人はそちらに入社し、拠点である京都に二人で引っ越しました。私はハーブのお店を辞め、しばらくの間専業主婦をしたりアルバイトをしたりしていました。
結婚生活が落ち着いてきたころ、義母の希望でカフェを始めることになりました。初めは「趣味的なもので、週2~3日開けられたらいい」という話だったので私も「いいですね」などと言っていたのですが…。工事に着工したあと長男の妊娠が分かって。

――嬉しいことですけれど、不安にもなりますよね。

更にカフェを始めてみたら、週2~3なんて言ってたのが、実際は週6日8時間勤務で。その後、12時間勤務になっていきました(笑)
「話が違うー!」って思いましたね(笑)

――それはすごい大変な…。

お客さまも予想よりずっと少なくて…。夫婦2人で1歳になる長男を抱えて本当に困りました。

――子育ての大変な時期と重なってしまうとは…相当な苦労だったと思います。

産後も3か月になる頃には、息子を抱っこしてお菓子を焼きに出勤してましたね。息子が1歳で保育園に入園するまで、事務所に子連れ出勤してました。でも当時はもうやるしかなかったので、大変だとか考えなかったですね(笑)

――カフェの立て直しは、どのようにされたんですか?

主人と二人で、カフェの方針を変えたり、周りのホテルに営業をかけたりしてお客様を増やして、何とか立て直しました。
その時に、主人と「1つの仕事に頼っていてはいけない」と、家族の方針のようなものを決めまして。主人は常々自分で仕事をしたいと言っていたので、そちらの方向に向かっていくようになり、私も何とか自分の仕事を作ろうと足掻き始めた感じです。

イソカカさんお店外観

――すごい経営マインドのあるご家庭ですね!

ですね。夫は「仕事を作るのが好き」だそうで、今はレンタサイクル事業とairbnbのツアーをしていて、今度シェアネイルサロンを始めるそうです。

母として、経営者として、人間として。試行錯誤しながら、少しずつ自分の人生をつくっていく

――旦那様すごいです…!そしてイソカカさんはハーブティーのブランドを立ち上げたと。

はい。私の場合、できる事からしか仕事を思いつけなくて。2018年ごろから考え始めて、polcaで試飲をお願いしたりして、細々と始めました。本格的に仕事になってきたのは2019年の10月頃からですね。主にやったのは、ハーブのブレンドを考えることと、営業をかけることです。ここは短いなりに営業やってた甲斐がありましたね。

――少しずつ育ってきているんですね!今後どのように展開していきたいですか?

現在妊娠中なので体調と相談しながらですが、徐々に卸先を増やしたいですね。できたら個人相手より企業を相手にお仕事がしたいです。「睡眠を中心とした暮らしのリズム作りにハーブティーが一役買ってくれる」というのが私のブランドの考えなので、睡眠に関わるホテルさんやエステさんが特にターゲットです。
あとは、SNSを通じて興味を持ってくれた方が購入できるようなサイトは作ろうと思っています。

――自分でコンセプトから売り方まで全て考えているんですよね。尊敬します…

いえ…ほんとダメダメで…めっちゃ唸ったり、泣いたりしてます。たいした売り上げにもなってないですし。ただ、自分が決定権を持つ仕事を始めたことで、雇われ続けている時とは心持ちが違って、視野が広がった気がします。

――カフェのお仕事も続けながら自分のお仕事も広げていかれるんですよね?大変ではないですか?

最近は、カフェのお仕事も週4日・8~10時間勤務になり、自分のやりたいと思う仕事も趣味も、細々とできるようになりました。自分としても、一番大切なことは何かを考えるようになって、生活の満足度が変わりましたから。

――では今後、3人目のお子さんの誕生、ご自身のブランドの売り出しと、公私ともにますます忙しくなられるイソカカさんが目指す姿をお聞かせください。

母としては、あっかるいお母さんでありたいです。
人間としては、自信を持てる人になりたいです。経営者として主人と対等に話せるようにもなりたいですね。

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結婚を機に生活が一変する女性は多いと思いますが、イソカカさんには、事態を受け入れ、ご主人と協力して乗り切るしなやかさと力強さを感じました。家庭と仕事、両方に前向きに取り組むイソカカさん、私も見習いたいです!

☆イソカカさんのtwitterアカウントはこちらです☆


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