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個人的にここが好き!ムソルグスキー♪展覧会の絵

今回は冒頭のプロムナード でとても有名、そしてテレビ『ナニコレ珍百景』でおなじみのあの曲です。

今回の参考図書は音楽之友社出版 ミニチュア・スコア OGT-0221 ●ムソルグスキー(ラヴェル編曲) 展覧会の絵です。

○ムソルグスキーとは
モデスト・ペトロヴィッチ・ムソルグスキーは1839年から1831年に生きた作曲家で、ロマン派の中でも後期・国民楽派に属する作曲家です。
ロシア五人組(民族派)の一人です。

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○展覧会の絵
まず《展覧会の絵》という題名はどこからきたのか。
ムソルグスキーの友人にガルトマンという建築家・画家がいて、歴史家であり大学教授のニコリスキーと共に音楽やいろんな話をして仲良くしていました。
ある日ガルトマンが急死します。
そのガルトマンの遺作展が開かれ、それを見に行ったムソルグスキーは影響され、作品制作に至ったとされています。
つまりは《展覧会の絵》は音楽によるガルトマン賛歌なのです。

○この曲に込められたムソルグスキーの思い
この曲にガルトマンらとの談議が入っていることは想像できると思います。
これからの音楽のあり方、そしてロシア音楽がこの先どうなっていくのかを話し合った彼らの集大成がこの曲に込められているのではと思います。
例えば、チャイコフスキーやそれまでの作曲家と違うところは、5拍子はもちろん7拍子まで出てくること(5/8や7/8なのはありましたが7/4などはあまり見られなかったと思います。)
終わり方(カデンツァ)も常識に囚われないものになっています。
一番わかりやすいのが4曲目の『ピドロ』はコントラバス は一貫して「ソシソシ・・」の感じでたまに展開していきますが基本的には冒頭の動きです。
例えばわかりやすく古典の曲では曲の終わりでは、例えるならば発表会のお辞儀の例の「♪ドーシードー」とお辞儀できるタイミングが随所にありますが、《展覧会の絵》ではそのようなものはあまり見られません。
ほかには、西洋文化との対比や環境音(自然音)など取り入れ、(自然音といえばレスピーギのイメージがありますが)後世の作曲家の先駆けにもなっています。

○いろんな版
この曲はいろんな版があり、原曲ピアノ版のムソルグスキー版から死後はリムスキー=コルサコフが整理したもの、オーケストラ版はリムスキー=コルサコフの弟子であるトゥシマロフ版や『音の魔術師』指揮者のストコフスキー編曲版がありますが、中でも有名なのはムソルグスキーの死から40年後にラヴェルにより描かれたものです。
ラヴェル版が欧米で好評になり、独占権が失効した後は世界中で演奏される機会が増え、現在でも根強い人気のある名曲になっています。

○ラヴェル版 曲の構成
・プロムナード
1曲目・グノーム
・プロムナード
2曲目・古城
・プロムナード
3曲目・チュイルヒー
4曲目・ピドロ
・プロムナード
5曲目・殻をつけたひな鳥のバレエ
6曲目・サムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ
7曲目・リモージュ ー 市場
8曲目・カタコンベ ー ローマ時代の墓
・死者の言葉による死者との対話(プロムナード )
9曲目・鳥の足の上の小屋
10曲目・キエフの大門

これを書いていて古城とキエフの大門はパッと思いつくのですが、そのほかはいまいちこの題と曲がどうリンクしているのかわからないです。
実際ムソルグスキー自身も題名が奇妙だと認めています。

こちらのサイトに絵入りの解説があるので載せておきます。

・各題の説明
・プロムナード =いわゆるテーマです。このあとでてくるのもに関しては繋ぎと思ってもらえれば理解ができると思います。
1曲目・グノーム=欧州の民話で、グノーム地方の財宝を守る小人の妖精。当時欧州の風刺にたびたび登場しており、ロシアでも知名度はあった。

2曲目・古城=古い城のお話

3曲目・チュイルヒー=ガルトマンがパリ滞在中にチュイルヒー公園でざわめく娘と子供を描いた。
4曲目・ピドロ=ポーランド人抵抗者の処刑の図を表している。

5曲目・殻をつけたひな鳥のバレエ=バレエの衣装画
6曲目・サムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ=中世欧州のユダヤ人は安住の地を求め、ポーランド・ロシアへ住み着き、その世界感を描いている。
7曲目・リモージュ ー 市場=街の名前。陶磁器が有名
8曲目・カタコンベ ー ローマ時代の墓=カタコンペは共同墓地で、ガルトマン自身がそれを見つめている絵
・死者の言葉による死者との対話(プロムナード )=親友ガルトマンとの対話を追想するシーン
9曲目・鳥の足の上の小屋=ロシア民話の魔女の小屋は(ロシアでよくある切り株の台による高床式民家)鳥の足の上にある。ガルトマンはこの伝説から時計のデザイン画を残した。
10曲目・キエフの大門=ロシアの都市のひとつであるキエフ。

○個人的難しいところ
1曲目のグノームは速いテンポで細かい音符なので非常に難しいです。そして「ヘミオラ」という今まで3拍子だったのが2拍子になります。ここがとても難しく、リズムを覚えてしまえば一生使えるくらいなのですが、ラヴェルはそういうことをコントラバスにやらせるのが好きだなといつも思ってやっています笑
9曲目の鳥の足の上の小屋の中間部Pizzicatoは非常に緊張します。一番コントラバスが目立つところなのではと思っています。

○個人的にここが好き
この曲は全体的に(ラヴェルだからというのもあるかもしれないけれど)コントラバス はいろんなことをさせてもらえる(いろんな表現を駆使して曲を弾いている)後期ロマン派以降、特に世紀末に近いところからはそのような傾向がありますが、最近ラヴェルの《ラ・ヴァルス》やマーラーの交響曲第1番を演奏して、打楽器的な使われ方をされたりしていると、《展覧会の絵》を含めてそういうところに楽しさを見出せばとても楽しく弾けるのではないかなと思っています。
実際この曲はまだ弾きやすい方なので全体的に楽しんでいきたいと思います。
あと、降り番の曲の方がリラックスして聴いているというのもあって好きです。


原典版のピアノ版のほか、オーケストラや吹奏楽など様々な編曲が存在します。

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