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ー8ー 彼への手紙。私と彼の終着点。

悩んで悩んで。悩んだ末に私は答えを出した。


彼が十日間連続勤務のタイミングで、
‘‘私は大丈夫だから、自分の家からお仕事に行ってね‘‘
と送り出した。

そして私は、彼に向けて手紙を書き始めた。


ーこんな内容ー


彼の思う、理想の家庭を作るためには、なんでも言い合えないとダメだと思うこと。
私はもう、彼の高圧的な態度や、何を言っても受け止めてもらえない感じが先行しまって自分の言いたいことが出てこなくなること。

もう限界であること。

私の家庭の背景から字を書くことで気持ちを吐き出すことで生きてきたこと。
その姿を見て彼に怒られたのに対して、
自分の背景を伝えることで少しでも理解してもらいたい為に話そうと頑張っていたこと。

今の私が大事だから、過去の事は関係ないって言ってたの、一見ポジティブに聞こえるけど、
私にとっては自分が母親になること、家族ができることにおいての分岐点であり、重要なことであったこと。

それから、やっぱり私は自分が妊婦になった以上、
助けてもらうのは当たり前のことだと思うし、
両親には頼れないから尚更。
なのに唯一の彼に、文句ばかり言われて自分の精神的に参ってしまっていること。

‘‘ありがとう‘‘という言葉は大切だけど、
何故自分は言われないのか?強要するばかりではなく、
理由を自分でも考えてほしかったこと。

尊敬・感謝されたいのであれば、そういった振る舞いが
あれば自然とそうなっていたはずだということ。

私も、赤ちゃんがまず出来たときに‘‘ありがとう‘‘が
欲しかったこと。
赤ちゃんの為に頑張ってくれてありがとう、
彼の洗濯物も洗ってくれてありがとう、
身体がきついのに映画に付き合ってくれてありがとう

そう言って欲しかったこと。

堕胎するなら費用は勿論、しばらく仕事はできないこと、精神的にも身体的にもダメージが計り知れないこと。
堕胎した赤ちゃんは死産届や火葬が必要なこと。


現実的な問題まで

大まかに言うとそのような内容の手紙を書いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、別の手紙も用意し、そこには

‘‘付き合えて嬉しかった。短い間だったけど一緒にいて楽しい時間はあったし、ちゃんと好きだったよ。今までありがとうございました。‘‘

と書いて別の封筒にいれた。


手紙を書いている途中で、彼からLINEで連絡がきた。

「会いに行けなくてごめんね、次の休みが分かったら、調整して数日なら、次の日仕事でも行くから」と。

私は大丈夫だと断って、ずっと会わせたいと私が言っていた
牧師さんに会ってほしいことを伝えた。

「なんでそんなに会わせたいの?」
と返ってきた。

‘‘今後の事や、私が色々考えていることを、ちゃんと伝えたいから、第三者が必要なの、もう怖くなっていて言えないから。‘‘

と返した。

彼は、私が本音を言えないことを悲しんでいた。
第三者無しで思ってることは全部伝えてほしいし、ちゃんと話せば聞く

とも言っていた。

私はもう怖くて無理なことを伝えると、

「ほんとに俺の子だよね?」
なんて言葉を掛けられた。

どうして?どうしてそこでそうなるんだ。

本当に、自分がしていることの自覚ができていないんだな
そんな考えに辿り着いてしまうんだな。

悲しかった。間違いなく彼の子なのに。
彼の子でない可能性のあることなんてしてないのに。


そして彼から電話が掛かってきた。

‘‘出たくない‘‘

そう、返した。

もう一度電話が掛かってきた。
無視した。

そして、
「電話に出たくないとかひどくない?」
「早く引っ越しして、結婚して2人で育てるのに、なんか他に第三者挟む必要ある?」
と。

「俺も今の状態が可哀想すぎると思っているよ。申し訳ないし。家の事とか俺がやってあげるし、辛いときは買い出しとか色々してあげたいもん。でも睡眠時間とれなさすぎて。死ぬから。休み判明しないと体力的にきつい。」


LINEの文面だけ。書いてることと、実際にやっていることが
違いすぎる。
彼が、本当にそう思っているなら
今までのこんな対応なんて無かったはず。


もう。私は流されない。


私は、彼に今頭の中を整理しながら手紙を書いていて、
第三者の話し合いの際に言おうとしていることを伝えた。


「そういう話(今後の2人と子どものこと)じゃない?」
「伝えられないって話は、そういう話じゃんよ。(恐らく彼の子じゃないとか、別れたいとか)」

「全然理解できないし、ちゃんと説明はしてよ?その為(第三者の話し合い)に2時間かけて会いに行って、俺が嫌な気持ちになるの?行くのに気分落とされに行くのすげぇ落ち込むじゃん。俺は会いたいって言われて喜んで行きたいのに。」


どこまでも自分勝手で、自分だけが可愛い人なんだろう。

嫌気がさして、LINEは無視した。


後日、彼からLINEがきた
「ちゃんとご飯食べてる?」
「なんか、作ってあげるよ」

私は‘‘遠慮します‘‘と伝えた。

「何それ?会いたくないの?だったら牧師さんと会っても意味ないじゃん。ちゃんと言葉選んでよ。冷たくして良いことある?」

昔の笑顔で2人が写っている写真を送り付けていて、
「もうこういう顔してくれないの?」



私の中で何かがブチ切れた音がした。
私は彼にこう送った。

‘‘自分にとってマイナスなことを聞きに行く為に時間かけて行きたくないとかまで最後まで自分本位な言っといて、
だったら文句言えないように私がそっちに行くって言ってるの
これでも例え手紙を用意したとしても自分の口でも対面して言わなきゃいけないことだろうと私なりの誠意をもって向き合おうとしてるんだけど、その価値すらないですかね。私が一方的に手紙にしようとした文だけ送りつける方がいいですか?‘‘

‘‘この表情がもうできないようにしたのはあなただよ‘‘


彼は「いや、いいよ。会って話するよ。」


そこでその場は終わった。




そして、話し合いの日程と場所を
決めるやり取りをした。

その時に、念のため印鑑をもってくるように
彼にお願いした。

「なんで印鑑?なんか嫌なんだけど。子ども下ろすのに印鑑いるの?」

と。
私は堕胎の決断をしたことを彼に伝えていなかったのに。

「お金はいくらかかるの?」

入院の時点での妊娠週数で変わる為、
正確な金額は分からないこと。

堕胎することはまだ伝えてなかったはずだが。


そう私は伝えた。

彼はそこには触れず、ただ「必要な時に振り込みます。」
とだけあった。






ーーーーーそして、遂にきた話し合い当日。

私は緊張や恐怖感から不安定だった。

協力者が車で迎えに来てくれ、教会での話し合い。

先に着いて、確認する内容の項目を確認し、
彼の到着を待つ時間。
そわそわして仕方が無かった。



そして、彼がきた。

彼は最初、びびっていた。
第三者とは言っていたが、他にも2人連れてきていることは伝えていなかったから。


まずは彼の身元確認の為に免許証を写真に撮った。
他の協力者の2人には一度席を外してもらった。


そして、私から話を始めようと、手紙を出した。
‘‘手紙を書いてきたので、読ませてもらえれば...‘‘

そこで、もう涙が止まらなくなって喋れなくなってしまった。

それでも、続けようとした言葉に被せるように彼は

「いや、読むのが辛ければ読んで分かってもいいし。いいよいいよ、読むから。」

と言うので手紙を渡した。

彼は「こんなに長々と...」と
言いながら読み始めた。

同席している牧師にも、読んでもらった。


手紙を読み終えた後、
‘‘お腹の子どもについてどう思ってるんですか?‘‘
そう問いかけた。

「それは全然望んでないわけじゃないし、これから一緒にそうした気持ちはそのままだし、家庭のこととかも分かってたし、そんなの何とかなるでしょ、と。一般の流れとはちょっと違うけれども、別にいいきっかけだな、と。」

「勿論、一番に(私の事を)考えなきゃいけないけど、俺も普通に私生活していくなかで、精神的に削られて、その中でちょっとキツイ言い方されたら、手紙にも書いてあったけど2人のコミュニケーション不足というか、やるつもりなかったわけではないし。でも、言い方をちょっと優しくしてくれたら、言ってくれたらすぐできたのかな、と思う。」


呆れた。本当に口ばかり。
私に、言えなくさせたのは、誰?
だから、3人で未来を一緒に作っていくことが厳しいと感じたのに。


彼は終始、

私の言い方がもう少し普通の口調で話してくれれば。
喧嘩うってるような言い方ばかりしていた。
言った後にフォローしてくれれば。
いちいち怖いっていうよりも、普通に会話できないんだろうなって。


そう、言っていた。

牧師さんが、
『なんで彼女がこういう思いになってしまうか、背景みたいなものを想像したことはありますか?』

そう間に入った。


彼は、
「まぁ、ちょっと自分の(私)の思っていることを言葉にするのが苦手というか、自分を追い込みすぎてしまって、僕もちょっとのこととかで、「何でそういう言い方するの?」となってしまうので、そこでまぁ、彼女の方に負担を、でも普通に言えば大した問題ではない、でも若いころの家庭環境とかで、心に貯めこんでしまって、それが蓄積して、ストレスを発散させる方法がなくて、こういう風になっちゃったのかな、とは思いますね。」


私は、書くことでストレスを発散させてきた。
それも見ていたんじゃなかったの?
彼が、私の昔の家庭環境とは別に、上書きするかのように
私にとってのストレスを与え続けてきたんじゃないか。

私はそう思いながら聞いていた。
けど、やっぱり言えなかった。


牧師さんがまた仲介に入り、
『これからも絶対起こるからね、他人だからね、いわば分身だからね。どう乗り越えていくのか、っていうのが課題だね。それも疲れてしまった、というところまで来てしまっているのか、そうじゃないのか、互いにもう少しっていうのか。』


そして彼はそれに続けて矢継ぎ早に言ってきた。

自分の、彼自身のことを。
仕事の通勤がきつい話。膝の時の話。
ずっと、仕事の休みがない話。
私の家までどれだけの時間をかけてきているかの話。

牧師さんが遮るまで延々と続けていた。


私は、
この話し合いでいい方向に持っていけたらと思っていたけど、
もう、そういう気持ちは捨てたこと。
この状態で赤ちゃんを迎えても、自分のキャパオーバーになること。
今でもやっぱり、どう彼に接していいか分からない。
怖いっていうのがどうしても先行してしまうこと
を伝えた。

私が掛ける言葉に対する、彼の受け取り方に対して

‘‘どうしてそういう受け取り方しかできないの?‘‘
そう伝えた。

彼は、
「俺がこう言ったらどうする?っていったら、『冗談だと思う』って言ってたもんね。そしたら、もうちょっと『そういうつもりじゃなくて、ごめんね』って言って抱きついてくれたら」

そんな子どもじみたようなことを言い始めた。
正直呆れた。


ここで、牧師さんが以下のように

『もうちょっと言い方が悪くなければ、こんなことにはならなかった。悪いのは全部あなたの出方だ。』っていうのと、
『私は一生懸命、言おうとしてきたのに、あなたはぺっぺっってしてきたわ』っていう両方の声が聞こえる。

そうまとめたくれた。



そしてまた、彼は矢継ぎ早に
お互いに言い合いをしたことの話。
俺の身体も気を遣ってくれないことの話。
でも、彼女に聞いたら「そういうつもりじゃない」
と言い始め、


そこで私は身体を心配してなかった訳ではないことを伝えた。


でも。彼は

「怪我していても、そんな辛いときに私のことしてくれてありがとうって言ってくれたらいいのに。全然平気だからってなるのに。自分の為に、そんなに時間かけてきてくれる相手に大丈夫?ってなんで言えない?ってなるじゃん。」

「俺はそういうのが積み重なって、もうダメだなって思った。この子は俺に一生優しくしてくれないんだって思った。ありがとうって言ったからって損するわけじゃないし、普通のまともなコミュニケーションも取れないのかなって思ってた。」

「ありがとうって言わないといけない、って捉えている時点で、俺がありがとうを強制してるんだなって感じたんだよね。」


ここまできて、何を言ってるんだ。
この人は。やっぱりどこまでいっても自分本位で
自分のことが一番可愛いのだな。と
そう思いながら私は聞いていた。


‘‘私も、同じくらいありがとうって言われてない‘‘

そう彼に言った。
彼は突っかかってきた。

「何に関して?いつありがとうって言わなかったか、
具体的に言える?」


私はお腹の子に関して1人で耐えていること、
彼が家に来てくれている間の彼の洗濯物は私が全部やっていたこと。
映画の時に、「ついてきてくれてありがとう」と
言って欲しかったこと。

を伝えた。


彼は映画の話に関してのみフォーカスを当て、

「ついてきてくれてありがとうっていうかさ、最初に確認したじゃん。何度も確認したよね?」

「喧嘩っぽくなったけど、こっちは払い終わってるし。無駄になることになるじゃん。
たった2時間ならいいじゃん。お金のこととやかく言うわけじゃないけどさ。今までだって、どこに行くにも俺がお金出してあげてさ。喧嘩したからってやっぱり行かないっていうのは、ちょっと違うなって。」


彼は、昔の恋愛で女性からお金目的で近づかれた思いをしたことがあるのは私も知っていた。

だから、私も‘‘ここは私が出すよ‘‘と言ったり、
自分より彼を優先させて当てて選べた景品を彼に贈ったり、
私の家に彼が来る頻度が多かったから、
その分かかる水光熱費で少しでもお返しできていると思っていた。


彼にとっては、それは、、無かったことになっているんだな。

その現実を目の当たりにして私はなんだか
虚しく、悲しい気持ちになった。


牧師さんが、私の妊娠による精神的な不安定さ、
歳の差からくる圧力、
もう猶予のない緊急事態に対してどういう風に受け止めているか
彼に問いかけた。


彼は
「まぁ、一度はそうやって喧嘩っぽくなって出ていった時はあったんですけど、その後2人で頑張って行こうねってなったのに。やっぱり言い方がキツイと過剰に反応してしまって、この子とは一生無理だなって思って。」

「でも牧師さんと3人で会ってって言われて、なんで第三者が必要なのか、と思ったけど、彼女的には言葉にするのが苦手で、小さい頃からお世話になってるからって一緒にって言われて。この話し合いまでの間も、なんか冷たくされて、僕的にも子ども堕ろすのは仕方ないかなって思っていた。」


‘‘堕ろすしかないと思っています‘‘
私も、そう伝えるしかもう無かった。


ーーーーーーー彼との関係は、ここで終わった。


















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