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今、未来への解像度を高めるべき理由 -Why Future Foresight ? -

皆様、こんにちは。

すっかり桜のお花見も近い時期になって参りましたが、まだまだ寒かったり、強い風が吹いてきたりといろいろな時期でございますが、お元気でお過ごしでしょうか。

CROSS Business Producers 代表の三木言葉です。

本日は私たちが取り組んでいる未来予測のアプローチについて少しお話ができればと考えております。そもそもそれって意味があるのというところから、行きましょう!

私たちが未来予測の手法を 推進している目的は、私たち一人一人がそれぞれ望む未来を掴むため、ということに集約されます。

企業や自治体において言えば、格別なポジションを未来の市場社会において獲得するため、個人において言えばより望む幸せになるためです。こうした手法を用いて、企業や各自治体の期する成長及び高い競争優位性を確立することを目指しています。

今日はこの話を進める上で、とある1つの論文による発表内容を引用してお話を進めたいと思います。

2018年に発表されたフランス・ニース、EDHECビジネススクールの教授であり、UNESCOの未来研究チームの担当なども務めるRene Rohrbeck教授の発表した論文、”corporate foresight and its impact on firm performance”をご紹介させてください。

この論文によると、2008年から2015年にかけ約100近くの多国籍企業についてどれだけ未来予測を行いそれを戦略並びに意思決定に反映したのかということとまたそうではないのかということについて分析を行ったとさ れています。

その調査の結果によると、来たる未来に対して、注意深く用意が充分であるとされた企業群は、未来に対して先ほど注意的に分析を行った企業群に比べて7年間の調査の間に約33%の高い利益率を打ち出したということと。また、時価総額においては、200%ほど高い成長を実現したと言う研究の結果が発表されています。

他方で、こうした未来への準備が不十分であると定義された企業は、調査期間の中において、37%から108%ほどもの、収益の減少が見られたということです。

どうしてこのような差が生まれてしまったのか。

この論文の中で、私たちが意識するべき2つのキーワードが取り上げられています。ひとつは、“コーポレートフォーサイト“、もうひとつは“フューチャープリペアードネス“という言葉です。

ひとつめの“コーポレートフォーサイト“からお話をしましょう。

それとは、これからその企業を取り巻く環境がどのようなものになっていくのか、マクロ環境全体及びミクロ環境、そして極めて身近な経営資源、人材、組織、風土、財務コンプライアンス、事業内容、そしてそれらを統括する戦略全体までにもわたって広く、そして狭くも近い将来から、少し遠い未来までバランスよく見通しを行うものです。

ここでポイントになるのがミクロの現状分析やちょっと先の出来事は多くの会社が必ずやっていることであるのではないでしょうか。しかしマクロ環境に関しては、何となく環境が悪化しているよね、ESGやSDGsの問題にも対応しなければならない。D&Iももっと積極的にやっていきましょうと言うような大きな話はするものの、それがどのように自分たちのビジネスと直接的につながっていくのかということの紐付けや分析はざっくりとしていて株主向けに提供するマクロビジョンの発表と現状の現況におけるビジネス戦略とは間埋まっていないことが非常に多くあります。

企業において言えば、様々な意思決定がトップから現場まで広く求められます。その時に、自分たちの会社はどういう未来を見ているのかそしてだから何を今選択するべきなのかと言う意思決定の前提となる認識が、どこまで組織全体に染み渡り、足並みが揃っているのかと言うのは大変に大きな問題です。

そもそも、この足並みが深いレベルで合っていると、日常の打ち合わせや意思決定を何か行っていくときに人によって判断軸はぶれないので、非常にスピーディーに、かつ成長や利益に資する、最も有利な戦略的なものを複数目で決めていけるということが、スピードアップできるという可能性が、非常に高いと考えられています。

それが実際にRene教授が説明して いる成長の指標にも結果的につながってきたと言えるでしょう。

こうした戦略と未来予測との紐付けがどこまでできているのかということは、この論文における言葉に依拠する、ふたつめの重要キーワード、“フューチャープリペアードネス“と言う言葉に集約されます。

コーポレートフォーサイトということが自分たちの企業の立場から見たときに自分たちを取り巻く未来の環境はどうであるのかということに対する改造度を短期並びにある程度の中長期のスパンで具体化していくと言うことです。一方で“フューチャープリペアードネス“と言うのは見通しに基づき自分たちがどのような意思決定をどのような場面でするべきかということがあらかじめシャープになっているかということです。

例えば、人材採用において、どのようなスキルセットを最も重要視するべきか、例えば新規事業の投資においては、どのような内容やどのような時間軸どのようなターゲットを重視するべきかといったのところです。よくありがちなのは、既存のビジネスの価値観に、一般に人々のマインドセットや意識発想はかなり意識取られますので会社全体としては、例えば株主向けの統合レポートなどで新しい事項打ち出していたとしても、実際の日々の意思決定においてどうするべきかというと、このアップデートまでは個人の意識レベルで行われていないということがよくあります。そういった時に頭ではわかっている方向性に対して、現実的には古い価値観に基づいた旧態、依然とした意思決定を進めてしまい、結果として新しく設定した目標は、いつまでたっても実現できないということがございます

しかし、これは非常に難しい問題で、大きな組織の一員として働いていると、自分が今持っている価値観が、どこまで現場の戦略に合っているのか合っていないと言うのかということが雰囲気的によくわからないということが発生しがちです。例えば、自分の横並びのスタッフや直属の上司は、非常に後ろ向きな発言をしていたり、新しいことに対して理解が不十分だったりすると、彼らの理解が正解であるかのように感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、取締役や社長と話をしてみると、どうもそうではない。彼らが本当に望んでいる自社の目指すべき方向性は違うところにあり、そうだとするならば、細々とした意思決定においても、本来、大きく異なる選択肢が出てくる、と、いうことが、明らかになってくるということがよくあります。

つまるところ、いわゆるどんな社会になっていくのか、どんな環境になるのかと言うざっくりとしたファンタジックのイメージを作っていくのは、コーポレートフォーサイトの領域とも言えますが、コーポレートフォーサイとはそれ単体で意味を出すのではなく、それに合わせて自分たちの属する組織や団体自治体の目指している方向性、一般に言えば、ミッション、ビジョンバリューと行動計画を落とし込んでいく。少なくとも、人財、事業内容、組織運営のあり方、こうした、については、こういう未来だから、こういう風な意思決定をするべきと言う前提条項を関係者で合わせていくというところまで、フューチャープルネスの一環としてできて、初めて未来をものにしていくと言う道筋が見えてくるでしょう

これらのアプローチは、シナリオプランニングと言う手法や、様々な戦略立案の手法、または自治体であれば、政策立案過程に含まれる活動と類する部分が多くあると捉えています。

大事な事は冒頭にも申し上げました通り望む未来に対して我々にとって有益な未来を作っていくことです。そのためにあるべき未来、そして戦略的な意思決定の前提となる事柄を関係者で広く意識合わせを行っていく。これによってスピードアップした組織の運営と成果出しにつながっていくと言うことがポイントです。

Rene教授の論文においても、こうしたことが様々な観点から実証的に論じられています。これまで未来予測の手法が色々な観点から意味があると説明をされてきた部分はあると思いますが、約10年近く、様々な企業に対して未来予測と戦略立案、そして事業の実行に対して調査を行い、パフォーマンス評価までを数値的に検証行った上で、未来予測が価値があると立証した論文は多くございません。

ぜひ、未来予測に基づいた事業開発や政策立案に関心のある方は、レネ先生の論文もお読みいただけたらと思いますし、また私たちのほうにお問い合わせをいただいたりしながら、一緒に新しい道づくりを考える機会をいただけたら嬉しいなぁと思っております。

🔸以下、引用元の論文(2018年)

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0040162517302287

🔸以下、2013年に発表された同教授の書籍



つまるところ、このアプローチの最大の意味は、企業や自治体の収益力や成長力を迅速に上げる手法であるということです。

その方法は来たる時代に対して組織全体の複雑性に対する対応力を上げるつま、スタッフ ひとりひとりのマインドセットにおける成果を出すための前提となる細かな方針をより明瞭にシミュレーションし、思考回路にインストールしておくことにより迅速で適切な意思決定を行い、顧客満足の実現やそれに伴う収益力を向上させ、組織の成長実現すると言うことです。

一言で言えば、夢を実現させるための時間を、スピードアップさせるための手法といえます。そしてそれは必要になった時にいきなりやるのではなく、体の筋トレと同じように日々日常的に準備を行い、トレーニングを進めていくことによって体力アップし、結果に結びつくということがビジネスや組織自治体の運営においても同じであると言うことです。

こうした手法を通じてより魅力的な取り組みが日本から世界に広がっていくことが私たちの何よりもの願いです。

共に夢を実現しましょう!!

三木言葉





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