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イタリア語の動詞の語法について

はじめに  非常に学ばれる言語である英語はそれを第2言語として学ぶ人のために語法研究が極めて進んでいて、中級程度の学習者向けにさえ多くの語法学習書が出版されています。  それに対しそれ以外の言語の、学習者向け語法はあまり顧みられることがなく、学習者はひとつひとつ辞書で確認するくらいしかないのですが、辞書でさえあまり語法欄が充実していないのが現状かと思います。  私自身、見様見真似でイタリア語を学び、それなりに流暢に話せるつもりではいますが、かなり動詞の語法に関してはあやふや

    • ダンテ神曲の詩法分析(1)地獄篇第1歌1~6

      はじめに 先日書いたnoteの原稿「イタリア詩の技法」につづいて実際に詩の分析をしてみようと思います。まずはやっぱりダンテの神曲がよいかなと思うので、その地獄篇の第1歌、有名すぎるくらい有名な最初の数行を読んでみようと負います。 ダンテがどういう人で、神曲がどういう作品なのかとかは書くときりがないし、ここではすべて割愛します。 知らなくてもこの拙稿は読めると思いますが、ほんとうに全然ご存じないならちょっとググってみておいてください。 また予めnoteの「イタリア詩の技法」はお

      • イタリア詩の技法

        はじめに noteというやつに今まで自分の備忘録代わりと思ってラテン語やギリシャ語に関するいくつかの「ノート」を書いたのですが、ギリシャ語ラテン語というのは今現在自分がまだ初学者のものであり、よく考えれば自分の本来の専門だったものについて書いてもいいのでは、と遅まきながら気づいたのでこんなものを(飲酒しつつ、酒のつまみ代わりに)書くことにしました。 もともとの専門とは言え、研究の道からは早々に撤退した身、しかも三十年以上前に学んだことを思い出しながら書いたので色々間違いがある

        • 古典ギリシャ語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その2

          §4 従属節3 理由を表す副詞節 4-1理由を表す副詞節を作る接続詞 a. 理由・・・ὃτι, διότι, ὡς b. 理由と時の意味をあわせもつ(英語のnow that)・・・ἐπεί, ἐπειδή, ὃτε Ἀλέξανδρος Κλεῖτον ἐφόνεθσεν, ὃτι Φίλλιπον ἐπῄνεσεν. アレクサンドロスはクレイトスがフィリッポスを褒めたので殺した。 Ὀ πατήρ ἐκόλασε τον υἱον, ὡς κακός

        イタリア語の動詞の語法について

          古典ギリシア語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その1

          §1 主節のなかに現れるちっこい語たち 1-1推量・反実仮想を表すἄν 現在時制のottativoで現在の推量 Οἰ πολέμιοι ἄν ἔλθοιεν εἰς τὰς Αθὴνας. 敵はアテネに入っているかもしれない。 歴史時制の直接法で過去の推量・反実仮想(この2つが同じ形で表される) Οἰ πολέμιοι ἄν ἠλθον εἰς τὰς Αθὴνας. 敵はアテネに入ったかもしれない。 敵はアテネに入ることもできたのに。 1-2 疑問文につける小辞たち

          古典ギリシア語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その1

          ラテン詩ヘクサメーターのスキャンニング入門2

          もうすこしスキャンニングの練習をしてみます。 素材はアエネイス第1巻、前回の続きで12~18行目までの7行です。 12行目 1脚目 Ur/bsanのスポンデオ 2脚目 ti/qua/fuのダッティロ(quは合わせて一つの子音字相当) 3脚目 it/Ty/riのダッティロ(1つ目の音節のiはここでは母音扱い。そうしないと計算が合わないので) 4脚目 i/te/nuのダッティロ 5脚目 e/re/coのダッティロ 6脚目 lo/niのスポンデオ cesuraは2脚めの1音

          ラテン詩ヘクサメーターのスキャンニング入門2

          ラテン詩のスキャニング入門

          私自身初心者なのであくまでも自分のためのノートをクラウドにアップロードするくらいの気持ちでまとめてあります。考え違い、書き間違いなど多々あるかもしれませんがご容赦願います。 また基本的にイタリア語での解説書などから学んだ内容で書いたので日本でどういう専門用語で呼ばれているのかよくわからないところはそのままイタリア語での呼び名を使っています。 §1 詩における音節 1-1 音節は次のいずれかによって構成される。 i) 母音 ii)母音+子音 iii)子音+母音 i

          ラテン詩のスキャニング入門