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【2021最新版】資金調達方式まとめ。最適な「初めての調達」を考える。

「起業をしたい」「資金調達をしたい」そう思った時に、どのように仲間や資金を集めるのが、事業にとって最適なのでしょうか?
事業内容や目指すゴールによって、「ヒト・カネ・モノ」を集める最適な方法は変わるはずです。
ベンチャーキャピタルとクラウドファンディングの会社でインターンをしており、また自身でも事業を立ち上げた経験から、フラットな視点でその事業にとって最適なお金の集め方を一緒に考えられるのではないか、と思い、今回「資金調達の方式」についてnoteにまとめることにしました。

3つの資金調達方式

さっそくですが、資金調達の方式は大きく分けて3種類あります。

①出資(エクイティファイナンス)
②融資(デットファイナンス)
③その他(クラウドファンディング、助成金・補助金等)

それぞれの特徴についてまとめたので、ぜひご自身の事業の比較検討に使っていただけると嬉しいです。

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資金調達に関連する、VC・銀行・クラウドファンディング会社・サービスなどの一覧も現在作成中ですので、出来上がり次第共有できれば、と思います。

※念の為ですが、何かを始める時「資金調達をしなければならない」わけではありません。自己資金で開始できる場合は、まずはやれるところまでやってみることをおすすめします。
※今回は「これから事業を本格始動する方」向けに書くため、アセットファイナンスおよびファクタリングについては割愛しています。

1.出資(エクイティ)

出資/エクイティファイナンスは、企業が新株を発行し、「出資を受ける」「投資される」形で資金調達する方式。原則、返済の義務は生じません※。
代表的な方法としては以下4つです。

・ベンチャーキャピタル(VC)
・事業会社(CVC含む)
・個人投資家(エンジェル)
・株式投資型クラウドファンディング

まず、共通して言えることは、1度発行した株式の取り消しや、一度低くなってしまった経営者の持ち株比率を上げることは基本的にかなり難しいため、投資を受けて本当に問題がないか?は、慎重に考える必要があります。
※原則返済の義務は生じませんが、特にVCはLP(有限責任組合員:事業会社や機関投資家、個人など)のお金を運用しているため、「投資先がリターンを出す」ことは大前提として考えられています。

■ベンチャーキャピタル(VC)
スタートアップの「資金調達」の代表例と言っても過言ではない、VCからの調達。
簡単に説明をすると、高い成長率が見込める企業に対して株式の一部と交換する形で出資を行い、その後投資した企業が上場したりM&Aされた場合に株式を売却し、出資額との差額分を利益(キャピタルゲイン)として受け取るビジネスモデルです。投資可能な金額はVCにもよりますが、シードであれば1社に対して500〜3,000万円程度が平均的な額。

LPへの資本返済を行うためにも、VCからの調達を行う際には、「成長可能性」を基本的には重視されることが多いです。
その他、シードと呼ばれるほぼ1番最初の段階でVCから見られている要素としては、「なぜ自分がやるのか、という熱い想い」「市場の成長性」「起業家の実績や素質」「チームメンバー」「顧客の有無」「会社/事業運営にかかる費用(バーンレート)がどれくらいか」あたりではないでしょうか。
シードの段階では事業が変わることはよくある話なので、「事業が変わったとしてもやり切れるか」を最も重視しているようにも思います。

ステージ(投資を受ける段階)と投資領域が各VCごとやVCのパートナー(投資家)によっても異なるので、自分たちの立ち位置を把握しつつ、相性の良さそうなVCと接触することが重要です。

VCへのコンタクトの方法としては3通りあります。
①紹介してもらう
先輩起業家や投資家(インターン生)からの紹介で会うと、スムーズに面談の予定を組みやすいです。信頼できる人からの紹介であれば、「どんな人か」という前提情報が共有されていることもあり、面談・投資の確度がグッと上がります。
②イベントへの参加
事業相談イベントのほか、アクセラレータープログラムへの参加をすることで、「その場でほぼ必ず」投資家との面識を持つことができます。
アクセラレータープログラムに採択された場合は、投資家が数ヶ月間伴走してくれる上、スタートアップの基礎知識を学べる場合が多いので、かなり早いスピードで成長が見込めます。
③SNSなどでキャピタリストやパートナーへDM
「絶対にこの人に投資されたい!」という推しキャピタリストが居る場合は、ぜひSNSのDMでアタックしてみるのも手です。上の2点に比べると面談までの確度は多少下がりますが、投資家がどんなことに興味関心を持っているのかがつぶやきなどから分かりやすいので、自分の事業領域に合った人とコンタクトを取れます。

■事業会社(CVCを含む)
CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)も様々な会社があるため、一概には言えないですが、多くは親会社や主事業を行っている会社に関連性がある事業に投資をすることが多いです。

VCが様々な人や会社から集めたお金を運用しているのに対し、CVC等はそのほとんどが親会社や自社の事業等で得た資本で投資を行っています。

VCと見ているポイントは大きく変わりませんが、より「事業内容」を重視する可能性は高いです。また、技術連携やビジネスパートナーシップなどとして投資をする場合もあります。

■個人投資家
その名の通り、個人として企業に投資をする存在です。投資金額は1社数百万円〜2,000万円程度。
VCやCVCのように様々な要素を鑑みて投資をする以外にも、「とにかく起業家やその事業が気に入った/面白いから」という理由で投資を決めてもらえる場合もあります。
また、投資家自身がビジネスで成功した/している経験がある場合が殆どなため、起業経験者の視点からの助言がもらえる・「人」を繋いでもらえる、などお金以外の部分での良さもあります。

ただ、1点注意しておきたいのは、VC同様株式を一部渡す形になるため、経営への過度な関与の可能性があるという点です。
創業したてで、何も分からないが故に投資金額に見合わない株式を譲渡してしまうケースも珍しくありません。
分からないことが多い初めのうちは、信頼できる先輩起業家などからの紹介や、ある程度知識のある人と一緒に話をすることをおすすめします。

■株式型クラウドファンディング
一般的に耳にする(購入型)クラウドファンディングとは違い、「会社単位」で出資ができるのが、株式型クラウドファンディングです。
特徴としては、1投資家あたりの投資金額が10万円程度からと、VCや個人投資家に比べると小口で多数の人からの出資がなされることです。
いくつか株式型クラウドファンディングサービスがありますが、そのほとんどが目標金額に到達しない場合は調達を行えないAll-or-Nothingの方式。そのため、「必ず調達したい」「今調達しないと会社の存続が…」という場合には少しリスクが高いです。

株式型クラウドファンディングは、資金調達にはもちろん「ファンマーケティング」として使われることも多いです。
一人ひとりの投資額が少額なため、多数の投資家が調達に関わることになります。それにより、多くの人が知識や人脈を寄せ集めて、事業を「一緒に」作り上げていく体験ができます。
経営権については、一投資家が出資できる額から鑑みても危うくなることはないですが、投資家が多くなる分株主総会の開催の負担や会ったことのない投資家とのやりとりになるため、方向性が合わない可能性があること等はリスクとして挙げられます。

2.融資(デットファイナンス)

融資(デットファイナンス)は、銀行などからその名の通り「お金を借りる」形で、資金を調達する方式です。借りているものなので、もちろん返す必要があります。
新しく会社を作った際に使える融資の例を2つご紹介します。

■日本政策金融公庫:新創業融資
これから事業を始める、または創業から2年以内の方向け。
創業から1年以内の場合は、創業資金≒事業のために用意している資金の総額のうち10分の1以上が自己資金で用意ができるかが追加要件となります。(実際には自己資金が3分の1以上あると通りやすいと言われています)
※適用要件があるため要確認
融資金額は最大3,000万円です。

金利は、1,01〜2.50%の幅で、使いみち、ご融資期間等で適用利率が変わります。(令和3年7月1日時点)
この新創業融資では、連帯保証人や担保は不要です。

どれだけの期間で集めたかなども、通帳などを提出して信用に足るかどうか判断されるため、銀行口座にコツコツ貯めておくと、きちんと目標に対して準備ができる人だと認識され、審査に通過する可能性は上がります。

その他、事業計画書や自分がやる理由・熱意も見られるため、融資を受けるまでの条件を揃えるのに乗り越える壁は多いです。ただ、株式も薄まらないため、ある程度の期間のうちに黒字化または収益が安定するようなビジネスを考えている場合は、デットでの調達はマッチすると言えます。

詳細:新創業融資制度

■日本政策金融公庫:新規開業資金(新企業育成貸付)
新しく事業を始めようとしている、または事業を始めて7年以内の方向け。
創業計画書をきちんと作れているかどうかが審査のポイントになるため、具体的かつ意義のある内容で計画書を作る必要があります。
融資金額は最大7,200万円。

運転資金(これから事業を続けるために必要なお金)なのか、設備資金(長期に渡って利用し、事業基盤となる設備に必要なお金)によって返済期間は変わります。
金利も、0.66〜2.55%と創業者の特性や事業内容に変わります。

創業まで時間的な猶予があり、公的な支援を受けることで大きく加速するようなビジネス、または工場設備やシステムなどまとまった額の資金が必要なビジネスモデルの場合は適している融資です

詳細:新事業育成資金

自分の事業に適した融資を知りたい場合は、全国6ヵ所にあるビジネスサポートプラザでの相談や電話も用意されているため、一度相談してみることをおすすめします。
日本政策金融公庫の創業支援特集ページ

3.その他

■クラウドファンディング
(購入型)クラウドファンディングは、法人ではなく個人でも利用が可能な資金調達の方式です。調達可能な金額は1万円〜1,000万円程度。
プロジェクト単位で「やりたいこと」と「目標金額」、「リターン」を設定し、クラウドファンディング会社の審査に通れば基本的には誰でも掲載が可能です。

VCなどからの調達とは違い、いくら金額を集めても株式が薄まることはありません。
支援金額に応じたリターン(お返し)をする必要があるため、サービスのローンチやプロダクトリリースを目標としている場合には、ファンを獲得するという意味でもとても相性の良い調達方式です。一方で、プラットフォームに掲載しただけでお金が集まるわけではないため、起案者や会社として戦略的に広報や友人・知人への声かけを行う必要があります。

■助成金・補助金
事業内容によって、大きく対象や金額が変わるため、こちらも一概には言えませんが、市や国などが創業支援の助成金を出していることが多いです。
無料相談や勉強会への参加、一定期間セミナーへ参加することで登録免許税(登記の際にかかるお金)の減免が行われる場合もあります。
自分が登記する場所でどのような創業・起業家支援が行われているかは、一度調べておくと、困ったときに相談できるため、おすすめです。

お金を出してくれる≒ファンである

事業に対してお金を出してくれる人は、いわば事業や会社、起業家の「ファン」です。(デットはこの限りではない)
資金調達がゴールや目的なのではなく、「そこから何を生み出すか」、そして「どんなファンと一緒に、どうやって自分たちの掲げる目標を叶えていくのか」を考えることが自分の事業にとって最適な資金調達方式を見つける手掛かりになるのではないでしょうか。

資金調達について、一緒に模索したいので、Twitterやmessengerでお気軽にご相談ください!

簡単に以下自己紹介です。

Sayaka Kuwabara 🐤Twitter 🦦Facebook
🎓大学4年生( 98年生まれ)
🍰W ventures associate:コンシューマー向けVC(ベンチャーキャピタル)
⛅️GoodMorning Planner Intern:ソーシャルグッド領域特化のクラウドファンディングプラットフォーム
🕯Whom Brand Creator:失恋をきっかけに「忘れられない女の子」のための香水ブランドプロジェクト(2021年2月終了)
💄プリキュアと美容、考えることが好きです

参考資料・記事


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