記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【シン・卯月絢華のシネマ馬鹿】Vol.36 キングダム 大将軍の帰還

見に行った場所 109シネマズHAT神戸
フォーマット 4DX
個人的評価 ☆4.7(Filmarksでの個人的評価)


イントロダクション

中華統一を題材にしたヤングジャンプの看板作品を壮大なスケールで描く実写版の第4弾。第3弾である『~永遠の炎』から1年弱での続編となり、そしてシリーズ最終章と銘打たれている。原作通りだととある重要キャラが死ぬので原作やアニメを知らない人はロスるんじゃないのかな。
前作からの追加キャストとして河了貂の前に立ちはだかる謎の軍師・李牧(りぼく)役に小栗旬を、秦六大将軍の1人である摎(きょう)役に新木優子を、そして最強の敵である武神・龐煖(ほうけん)役に吉川晃司を起用。小栗旬と吉川晃司に関しては『~永遠の炎』のラストシーンで出ていたので知っている人は知っていると思う。
主題歌は第1作以来となるONE OK ROCKを起用。まさに最終章にふさわしい布陣となった。

あらすじ

信率いる飛信隊が趙軍の副将・馮忌(ひょうき)の首を討ち取った日の夜。野営地で休息を取る飛信隊の元に恐ろしい男が襲いかかってくる。
男の正体は趙軍の総大将で、武神と恐れられる龐煖(ほうけん)という人物だった。当然、飛信隊は龐煖の圧倒的な戦力になすすべもなく撤収。信は瀕死の状態となってしまう。
信の戦友である尾到の犠牲もありなんとか生き延びた信だったが、飛信隊は壊滅状態。王騎将軍率いる秦軍の騎兵隊が合流した時点で戦力は半分以下となってしまった。
龐煖に立ち向かうにはどうすればいいのか? 戦略を練る信と王騎は、大胆にも趙軍の中心に突っ込むことを決意する。
一方、秦国の王である嬴政(えいせい)の元にも飛信隊に関する伝達が届く。龐煖の攻撃で壊滅状態となったことを知った嬴政は、部下である昌文君から王騎に関する過去を伝えることになった。

今から21年前。王騎はとある女性に恋をしていた。女性の名前は後に「秦六大将軍」の1人として数えられることになる摎(きょう)という兵士だった。
摎は女性という理由で後宮を追われ、王騎の元へと預けられることになった。そして、王騎と共に戦へと出るうちにその戦闘力を買われ、女性の身でありながら武功を上げることになった。
しかし、実の父親である昭王と謁見した摎は、戦に出る際にある条件を言い渡されてしまう。その条件とは「仮面を被って素性を明かさぬようにすること」だった。
仮面の兵士となった摎はその後も武功を上げ、陥落させた城の数は99個にも及んでいた。幼い頃、100個目の城を陥落させた時に王騎と結婚することを誓っていた摎だったが、残念ながらその願いは叶わなかった。100個目の城――それこそが龐煖率いる趙国の城だったのだ。
摎を龐煖に殺されたことで愛する人を喪ってしまった王騎は、龐煖に対して矛を振るう。その時に龐煖に対して付けた顔の傷は、彼の心の中で「復讐の炎」として燃え上がっていた。

龐煖との一騎打ちに挑む王騎だが、武神となると大将軍と恐れられる王騎の力を持ってしても膠着状態。
そんな中、王騎の命を狙うべく、趙軍の一矢が放たれようとしていた……。

個人的な感想

いやぁ、本当に良かったですよ。
シリーズ最終章と銘打ってあるだけあって合戦シーンもアクションシーンも最大級。4DX推奨。(なお取材日は寝不足だったので揺れが激しすぎて少し酔いました……)
最近の大河ドラマは2年連続で「クソ大河」という評価を下さるを得ない状態だが、本作はそんな大河ドラマよりもよっぽど大河ドラマしている。
いくらキングダムシリーズはソニーが関わっているから金のかけ方が段違いだとしても、大河ドラマにはもうちょっと頑張って欲しいと思う次第。
しかし、ストーリーの進行上仕方がないとはいえ個人的には嬴政の出番がやや少なめだったのがネック。ほとんど伝達シーンと回想シーンのみでの登場となっていた。
本作の上映時間はシリーズ最長となる146分(2時間26分)だが、正直言って回想シーンで尺伸ばししているという観点もあったりする。しかし、王騎将軍の過去は重要なので回想シーンといえども間延び感は全くもってなかった。時間配分が完璧。

ネタバレ注意

※ここから先はネタバレを含みます
一騎打ちの末に、王騎は胸に龐煖の矛を受けてしまう。
それでも、瀕死の状態で馬を駆ける王騎は信にある事を伝える。それは「大将軍としての心得」であり、信はその目で戦場というものを見ることになる。
やがて、森の中で秦軍を集めた王騎は、皆に対して遺言を伝える。王騎は死を悟っていたのだ。
遺言を伝える中、信に対しての遺言を伝えたところで、王騎が持っていた矛が彼の手に落ちていった。
信が顔を上げると、そこには安らかに眠る王騎の姿があった。

――王騎将軍、死す。

趙軍の目的は飽くまでも「王騎将軍を殺すこと」であり、目的を果たした趙軍は撤収。馬陽の地は秦によって守られることになった。
その事を知った信は、弔いに際してある覚悟を決めることになる。それは、「大将軍・王騎が咸陽(かんよう)に帰還することを嬴政に知らせる」というものだった。
それこそが「大将軍の帰還」であり、咸陽に帰還する信の手には――王騎の矛が握られていたのだった。

***

最近の日テレはドラマに対する原作改変で大炎上していたのでワンチャン原作改変してまで「王騎生存ルート」を探していたが、やっぱりそんなうまい話はある訳なかった。というかここを改変したら原泰久先生は大激怒だろう。
そういう訳で「王騎の死」で潔く終わったのは最近の日テレから考えるとまだ良心が残っていると感じた。もっとも、日テレというよりはソニーの意向だろうが。

ちなみに、今作はポストクレジットがないので映画の続きが気になる方はYJCを読むなりアニメ3期以降を見るなりしてほしい。アニメの方は現在5期まで放映中でNHKの割にサブスクも充実しているのでぜひ。何気に5期のオープニングテーマ(Novel Core×山中拓也)が秀逸。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?