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【自由詩】遠くまで

毎朝電車で見る彼は
晴れの日も雨の日も
窓の外を眺めていて
今日こそ横に立つの
同じ目線で眺めたい

鉄の大群押し寄せる
隙間に見える淡い空
たまに見える校庭で
何かに怯えているの
子供たちが走り回る

横目で彼の横顔を覗き見て
マスクの下が緩んでしまう
決して気付かれないように
私だけが楽しんでいるのね

緑の香りが生い茂る
地面に伸びる暗い影
奥に見える赤い屋根
灯が灯るワケでなく
老婆が窓に顔を出す

光が差し込む東の空
鳥は今にも彼方へと
両手を強く握りしめ
遠くまでただ力強く
彼と再び会えずとも

遠くで彼を見つめていても
力を無くした私のツバサは
音も立てずに崩れていって
彼に気付かれることはない

「もう諦めさせて下さい」
「もう忘れさせて下さい」
「もう・・・」
「もう・・・」

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