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他者との関わり②

他者との関わりを教えていく上で、必要となってくるのが「他者の視点」。T先生のレッスンの時間に、自分には見えていることが相手には見えていない、ということを、あきひろに教えてみようということになった。

<ステップ1>先生とあきひろが机を挟んで向かい合って座り、表はリンゴ、裏はくるまの絵が描いてあるカードを間に立てて置く。あきひろにはリンゴの絵の方を向けておき、「これはなんですか」と聞いて、あきひろは「りんご」と答える。その後「先生のカードはなんですか」と聞いて、裏のくるまの絵を見せ、あきひろが「くるま」と答える、という練習をしておく。

<ステップ2>表にはリンゴ、裏は何も描いていないカードを使う。ステップ1と同様に、あきひろにリンゴに絵の方を向けて、先生が「あっくんはリンゴが?」と言うと、あきひろは「りんご」と言うので、そこで先生が「見える」と言い、あきひろに「みえる」とエコーさせる。その後「先生はリンゴが?」と聞くと、あきひろは「みえる?」と言ったので、「見えない」と言ってやりエコーさせる。

<ステップ3>「見える」「見えない」がわかっているかどうか確かめるために、今度は私も入り、3人でやってみた。先生とあきひろとの間、90度の位置に私が座り、ステップ2のカードを使って、リンゴの絵は私にだけ見えないように向けて、あきひろに質問していく。

T先生「あっくんはリンゴが?」 あきひろ「みえる」

T先生「お母さんはリンゴが?」 あ「みえない」

T先生「せんせいはリンゴが?」 あ「みえる」

ステップ1と2をしっかりやって、続けてテンポよくやることで、ステップ3が一気にできた。

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家では、絵カードの入ったコップをゆうじが持ち、同じテーブルではなく、少し離れた所にいて、あきひろがゆうじに何の絵が描いてあるかを聞いてきて、私に報告するという課題をやった。私が「ゆうじくんのカードは何ですか」とあきひろに聞き、あきひろがゆうじの所に行って「なんですか」と言い、ゆうじが「くるまです」と言うのを聞いて、私の所へ戻ってきて「くるまです」と言う。

しかし、あきひろは、ゆうじが「くるまです」と言うと、その場で「くるまです」とエコーをしてしまい、戻ってきて私に言うということができなかった。そこで、情報を持っている人(ゆうじ)と情報を知らない人(母)が別の部屋にいることにした。

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少し設定を変え、図のようにして、箱の中にお菓子を入れて、入っている箱の番号のカードを別室にいるゆうじが持ち、それを聞きに行くことにした。こうすることで、戻ってきて私に言うとお菓子がもらえ、報告することの意味がわかりやすくなった。

同じことを、私とゆうじの役割を逆にして、私に聞きに行って、ゆうじに教えてあげるという風にすると、より報告がしっかりできるようになった。日常の場面としては、お母さんからお菓子のある場所を聞いて弟に教えてやることが、自然だったのだと思う。

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