Without me.
わたしは最初彼を迎えた。
彼もまた、わたしを迎えた。
わたしは常に彼と共にあった。
彼も常にわたしと共にあった。
一緒の歩幅で歩き、一緒に食事をして、
一緒に寝て、一緒に同じ夢を見た。
常にわたしと彼は共にあった。
そう、共にあったのだ。
だからわたしは彼と一緒に罪を犯した。
一緒に炎を見た。
燃える炎を。
紅く熱く燃え上がる炎を見た。
体が浮く感覚に陥った。
地に足がつかない。脳味噌が一人点高く浮き上がる。そしてそれはわたしを見下ろしている。
彼は一緒か、それが知りたかった。
彼は笑っていた。
一緒ではなかった。
あゝ、彼と私は違うのだ。
そして今、私は彼とは違う。
彼は私の前で跪いている。
私は彼に呟いた。
Without me.
彼は一人、灰色の冷たい床に横たわった。
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