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映画「アングスト / 不安」は観客を徹底的に犯人視点に立たせる恐ろしい映画や

◆はじめに 

「アングスト/不安」を見てきた。
 1980年にヴェルナー・クニーセクによって実際に引き起こされた一家殺害事件を元に、オーストリアで1983年に公開されるも、その残虐さから1週間で上映中止になった幻の作品。
 そんな作品がこの度日本でリバイバル上映に至ったなんて言われたら、ミーハーな私が行かないわけがない。
 公開翌日、シネマート新宿の21時台にいったのだが、満員御礼状態。気になった方は是非前もったチケット予約必須だ。

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↑シネマート新宿のエレベータ。頭おかしいw

◆あらすじ

 主人公Kは幼い頃から犯罪を繰り返す男だった。彼は一般的に不遇と言える家庭に育っていたこともおそらく影響し、犯罪による投獄と出所を繰り返し生きてきた。ある日、彼は数回目の服役を終え出所したが、彼の殺人欲求は減退することなく、むしろ抑えがたいものとなり、早速新たな獲物を狩りに出かけるのであった。

◆感想

・主人公は全然カリスマ性のない粗野な人間
 本作の主人公は、一般的なシリアルキラーのイメージにある「カリスマ性のある殺人鬼」なんてものから程遠く、不安症で、視野が狭くて、知性の低い野生的衝動で行動しちゃう超ふつーの人間だ。
 なんてことを書いていたら、「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」のレビューでも似たようなこと書いてたのを思い出した。
 本作もフリッツ・ホンカ同様実話を元にしているが、実際のところ「かっこいい殺人鬼」なんてごく一部で、殺人犯といえども道を踏み外した人間なんだなと、ふと思った(もちろん先天的、後天的なサイコパス、ソシオパス的要素はあっただろうが)。

・「うおーーーー!お前早く獲物ヤってまえー!」って思ってしまうほど徹底した殺人鬼視点。
 臆病で不安症な殺人犯は、ターゲットとした家に忍び込むことに成功し、その後帰宅してきた住人(障害者で言葉がきけない男性と、老女と若い女の3名)を本能的衝動でハチャメチャにいたぶり殺していくのだが、ごめんけど、犯人の不安とか思考停止状態が、あまりに犯人視点で描かれすぎていて「はよそいつ拘束しろや!!」「はよ殺せや!!」「はよ捕まえろや!!」ってなってしまうんだな・・・・・・・。恐ろしい。

 ちなみに、障害者男性はXXXのXXに突っ込まれてXX死させられ、老女は全身縛り上げられて口にXXを突っ込まれてあっけなくXX死し、若い女は辛くもXXようとするが、XXXXられ、XXでXXXXにされ、しまいには死んだ後KにXXXされる始末。

 これらの描写、一定以上のリアルな残虐性があるので刮目してくださいね。 

え、撮影!撮影よ!!
 で、その徹底した殺人鬼視点を実現させているが、主人公の演技もさることながら、ちょっとありえないくらいかっこいい撮影によるものであると言える。
 主人公を真ん中にしてその周りをぐるぐる回転させたり(和田誠の麻雀放浪記で卓をぐるぐる回転させる感じに近い)、上下の概念を崩した撮り方をしたり(なるほどギャスパーノエが絶賛し影響を受けた意味がわかる)、ドローンかい?と思わせる空撮があったり、手持ちブレブレシーンがあったり、ひたすらかっけーーーーーーーー!!!

 この撮影があるが故に、めちゃくちゃ、主人公の殺人鬼の不安と衝動と興奮が伝わるんだよね。

「鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜」というタイトルはギルティ
 ただの小ネタだが、本作が日本でVHS化した際のタイトルは「鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜」だったらしい。今、この映画を見た身からするとこのタイトル、絶句以外の何物でもないw
 ょゎょゎで野蛮な殺人鬼のあっけない殺人譚でしかないからギャップで憤死するわw

 さて、グロ大丈夫な人には是非殺人体験に浸ってほしい本作ですが、残虐すぎて見たくないって思ってる人もいるかもしれないので、可愛いすぎる劇中のイッヌの動画上げときますね!!


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