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ブランディングの第1ステップ:課題を全て吐き出す


ブランディングを始めるとき、まずブランドに関する課題を全て洗い出すことが重要です。これまでそのブランドを扱ってきた人々が見逃してきた問題点、うまく対処できなかった点を全て掘り起こします。痛みを伴う作業かもしれませんが、避けては通れないプロセスです。

対立を乗り越える

ビジネスの現場では、さまざまな理由で部門間や個人間の対立が生じるものです。営業部と開発部の間には常に火花が散っていますよね。しかし、ブランディングの最初のステップでは、これらの対立を一旦リセットし、全員の目標を一つにまとめることが求められます。このステップを踏むことで、チーム全体が一つの方向に向かって進むことができるのです。

課題の掘り出しと分類

課題を洗い出す際には、以下のような分類方法が効果的です。
全部なぞる必要はありません、ブランドに合わせて適宜、考え方を使ってみてください。

  1. ハードとソフトの分類

    • ハード面:資金不足、設備の老朽化、技術的制約

    • ソフト面:組織運営の問題、人材育成の不足、マーケティング戦略の欠如

  2. 内部と外部の分類

    • 内部課題:社内コミュニケーションの欠如、社員のモチベーション低下、業務プロセスの非効率性

    • 外部課題:市場競争の激化、消費者ニーズの変化、規制や法制度の変更

  3. 短期と長期の分類

    • 短期的課題:即時の売上低下、新商品の発売遅延、キャンペーンの効果不発

    • 長期的課題:ブランドイメージの低下、顧客ロイヤルティの減少、長期的な市場シェアの喪失

  4. 戦略と運用の分類

    • 戦略的課題:ポジショニングの不明確さ、ターゲット市場の誤り、長期ビジョンの欠如

    • 運用的課題:日常業務の効率化不足、リソースの最適配分の欠如、コスト管理の不備

  5. 機能別の分類

    • マーケティング課題:ブランド、コミュニケーションの一貫性の欠如、プロモーション戦略の不十分さ、デジタルマーケティングの弱さ

    • 営業課題:顧客リレーションの不足、販売チャネルの限界、営業スキルの不足

    • 開発課題:新製品開発の遅れ、技術革新の不足、製品品質の問題

  6. 利害関係者別の分類

    • 顧客関連課題:顧客満足度の低下、クレームの増加、顧客フィードバックの不足

    • 従業員関連課題:従業員エンゲージメントの低下、社内トレーニングの不足、人材流出の増加

    • パートナー関連課題:サプライチェーンの断絶、パートナーシップの弱体化、契約条件の不一致

チームの基盤作り

この「課題をたくさん出す作業」は、最後に戦略を策定し、その戦略を基に戦術を生み出し、実行することで多くの課題が解決することを目指します。ここで課題が出し尽くされ、皆さんの気持ちが非常に楽になった上で、プロジェクトの進むべき方向性を定めた時、以前は対立していた担当者同士が実は一番仲が良くなることもあります。これは、ブランディングを行う上での下地作り、つまりチームの基盤作りで大事な作業になります。

経営層の協力と忍耐

課題を全て出すということは、特に経営層や担当の部長・課長にとっては針のむしろのように感じられるかもしれません。

自分が責められているような気持ちになることもあります。しかし、これをしないと先には進まないと考えてください。もし自分の怠慢でそのような状態になっていた場合、素直に「そうだね、すまなかったね」と反省するのが良いと思います。

ちなみに、この時点でブランディングの進行がストップすることもあります。これは経営者や担当役員がこれに耐えきれず、何かを隠蔽したりしてプロジェクトが中止になることが結構多いのです。本末転倒です。

課題を抽出するということは、自分たちの課題そのものに向き合う作業であり、これを避けては強い戦略、強いチームは構築できません。

最後に

ブランディングの第一歩として、課題を全て洗い出して整理することは、ブランドの成長と成功に向けたスタートラインです。このプロセスを通じて、ブランドの現状をクリアに把握し、次のステップに向けた準備をしっかり整えましょう。

次は、ブランドの基本価値を整理するステージに進みます。

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