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『グローバルな2%』日本銀行インフレ目標と為替レート

日本銀行は2%のインフレ目標を設定しており、この持続的、安定的な実現を目指している。インフレ目標の意義については様々な議論があるが、例えば、2014年3月、日銀の黒田総裁(当時)は以下のように述べた。 『(2%の物価上昇を目指すことについて)こうした考え方は、主要国の中央銀行の間では広く共有されており、多くの中央銀行が「2%」の物価上昇率を目標とする政策運営を行っていることです。つまり、「2%」は、「グローバル・スタンダード」になっているということです。』 https:/

    • 『日銀、QEやめるってよ』国債買入残高はどうなるのか?

      2024年6月14日の金融政策決定会合で、日本銀行は「長期国債買入れを減額していく方針」を決定した。異次元の金融緩和は2024年3月の金融政策決定会合で終了が宣言されたが、その時点で国債買入れには変更がなく、実質的にはQE(量的緩和)が継続されていた。これがようやく終わることになる。国債買入減額の詳細については、市場参加者との意見交換を踏まえ、次回7月の金融政策決定会合で「今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定する」とされた。 今回の減額決定は事前に織り込まれており、債券

      • 『輪番のジレンマ』日本銀行による国債買入れの行方

        「輪番」とは日本銀行が実施する国債買入れオペレーションの通称である。なぜ輪番と呼ぶかは古い歴史があるらしいが、私は当時のことをよく知らない。呼び名はともかく、日本銀行が異次元金融緩和の出口、正常化の途に就き、この輪番の扱いが問題になっている。 2024年3月に異次元緩和は終了し、複雑怪奇だった様々な金融政策ツールは軒並み廃止の方針となったが、輪番は「これまでと概ね同程度の金額」で実施するとされた。短期金利を操作目標とした「普通の金融政策」への復帰が優先され、輪番の減額は後回

        • 『死ぬこと以外かすり傷』農林中央金庫の巨額(?)損失

          農林中央金庫の2025年度決算について、巨額(?)損失との報道が多数出ている。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-22/SDU0XDT1UM0W00 外債の含み損を主因に、5000億円超の最終赤字になるらしい。これに対応し、JA等の出資者と1兆2000億円規模の資本増強を協議しているとのこと。 最終赤字は褒められたものではない。それは当然のこととして、確認しておきたい点がある。相場をやる上で、一切損失を出さず

        『グローバルな2%』日本銀行インフレ目標と為替レート

          "This time is different"

           日本銀行金融研究所主催2024国際コンファランスにおいて、植田総裁、内田副総裁が講演を行った。その中で、内田副総裁が用いた「This time is different」という言葉が注目された。このフレーズは、2011年に当時の白川総裁も講演で使ったことがある。白川総裁は「バブル期には、いつも、今回は違う(This time is different)という見方が登場します」と述べた。この意味することは「実際はこれまでと同じであるにも関わらず、今回は違うと勘違いしてしまうこ

          "This time is different"