純粋に楽しむことができなくて、何も続かない

 初めてのnoteです。たぶん、何か役に立つことや宣伝ではなく、昔のブログ的な使い方をすることになると思います。

 ここ10年くらい、ずっと悩んでいることがあります。

「好きで始めたことのはずなのに、いつの間にか楽しくなくなって、やめてしまう」ことです。

 最初はバンドでした。会社の同期と、あとはどうやって集めたのか覚えていませんが、知り合いとかのツテでなんとか5人集めて、当時ハマっていたバンドのコピーバンドを組み、2年間で何回かいろんなイベントへ出てライブをしました。

 最初のうちは何もかも新鮮だし、憧れのバンドと自分を重ねて酔ってみたり、あとは勢いで大抵のことはなんとかなりました。

 壁にぶつかるのは大体最初のゴールをクリアした時、バンドの時で言えば最初のライブを終えたあとだった気がします。問題が見えてきて、最初ほど楽しいばっかりじゃなくなって、モチベーションが上がらない。自分の場合なら、思ってたより下手だな、とか。もっと上手くなりたいと思うけど、そのための努力は楽しくないからできない(やりたくない)。

 そうなると、自ずから一つの問いが生じます。

 「このまま続けるのか、それともやめるのか?」

 続けるには、モチベーションが必要です。現状楽しくないなら、どうしたら楽しくなるか考えることになります。そこで、いつもつまづきます。結局どうしたって楽しくならなくて、やめてしまう。バンドも、「上手くなるための努力をするのか、下手なりになんとか楽しむ方向へ持っていくのか」の2択のどちらを選ぶこともできなくて、結局2年半ほどで解散しました。やめた後は、コピーしていた本家の方まで聞くのも辛くなってしまって、持っていたCDやDVDは、機材と一緒に手放しました。

 2つめは、クルマでした。

 免許さえ持っていなかった両親の元に生まれたはずなのに、なぜかスポーツカーが大好きな私は突然変異と言われ、就職してからそれを自覚した私はMT免許を取得して念願のスポーツカーを(もちろんそんなに貯金もありませんでしたので、それでも買える中古車を一生懸命探しました)買い、意気揚々とSNSアカウントも作って友達の輪を広げました。

 女性のMTスポーツカー乗りは珍しいこともあり、すぐに友達からオフ会に誘われて、そこで色々な人に出会うことになります。その中で、次第に「自分もみんなに認められるようなカスタムをして、オフ会の主催をしたい」という夢が芽生えます。クルマの時は、ここが壁でした。やはり、最初は好きな車に乗って、同じ車好きと話ができるだけで楽しかったはずなのに、次第に「人気者になりたい」「相手にされないのがつまらない」と思うようになり、純粋に楽しめなくなっていきました。この時も、「続けるからには人気者になりたい、そのためにはみんなに認められるようなカスタムをしなければならない」という思考になりました。しかし、私は別にカスタムそのものに興味はなく、そのための知識を得ることも、苦痛でしかありませんでした。そのため、「苦痛と感じること、興味がないことを無理にはできない。かといって今のままでは楽しくない」といった思いを抱え続け、最終的には全てのコミュニティから脱退しました。初めてオフ会に参加するようになってから、8年後のことでした。

 3つめ、今現在壁にぶつかっているのは、小説を書くことです。

 こうして書いてみると、実に荒唐無稽というか、統一感のない内容です。その時々で興味があって、やってみたいことに手を出しているので、そう見えるのかもしれません。

 小説を書くきっかけになったのは、やっぱり好きなバンドに触発されてのことでした。音楽の方面の才能はないとコピーバンドをやって思い知っているので、それ以外の手段で、自分も何かこんな素敵な世界を表現したいと思った時に思いついたのが、書くことだったわけです。当時、翻訳の仕事をしていたため、文章を書くことが日常になっていたことでとっつきやすさもあったのだと思います。確か、同じバンドのファンどうしであれこれ妄想話をして盛り上がっていた時に、私が書いてみようか、と何気なく言った時に、読みたい!とその場の何人もから言われて、いい気になって書き始めたところ、意外に好評だったのが始まりだった気がします。

 壁は、そうして書き始めて9ヶ月めに、初めてオリジナルで10万字を超える作品を書き上げ、公募へ出したあと、やってきました。急に、何も書きたくなくなってしまったのです。焦りました。それまでのペースなら、1ヶ月で短編1作、長編も3ヶ月あれば書けたのに、何ヶ月経っても1文字も書きたくなりません。創作について考えれば考えるほど、何も出てこなくて、ごくたまに「お、これはネタになるかも」と思って書き留めたものも、翌日見返したら全然面白いと思えなかったり、なんとかプロットを最後まで作っても、いざ書き始めたら全然文章が浮かんで来なくて数日でやめてしまったり、そうしてまた数ヶ月何もしない日が続き、結局今に至るまで、新しい作品は1つも書けていません。(書けなくなって、8ヶ月。)

 この間、思っていたことは、「なぜ書けないことにそんなに恐怖を感じるのか」という疑問でした。この疑問には、これを書いている現在も答えが出ていません。私はプロではないし、誰からも書くことを強制されていません。多くの人は、私と同じ状況に陥った時、「書きたくないなら書かない、また書きたくなったら書けばいい」と考えるでしょう。でも、なぜか私はそう思えない。そう思えていたなら、この8ヶ月、ずっと毎日のように「今日も書けなかった(書く気にならなかった)」と思い続けて、定期的にSNSに作った作者アカウントも各所に発表した作品も全て跡形もなく消し去りたいという衝動に駆られることはなかったと思います。「続けるのかやめるのか」という問いを先送りにしながら(正確には「続けたい、けどつらい」という状態)、今これを書いています。

 私なりの考察

 自分なりに関係のありそうな要素を、書き出してみます。

 ・「認められたい」という思い
 これは明確に楽しむことを邪魔する要素です。向上心と言い換えれば聞こえはいいけれど、結局は「結果を出せていない状態」に苦しめられることにつながっています。これをどうやったら捨て去ることができるのか、知りたい。

 ・「何者でもない、特別ではない自分」を受け入れられていない
 何かを為してひとかどの人物になりたいという思いも強いと思います。ただ、これに関しては、憧れているものではなくても、何か他のところで特別だと思えたらそれで消えるものなのか、それとも手に入らないものを欲しがっていて、手に入るものには価値を感じられないのか、それはまだ検証ができていません。

 ・自己否定する要素を自ら探しに行ってしまう
 壁にぶつかったときはいつも、「自分には無理な理由(諦める理由)」を探して、自分を否定することで諦めさせようとする傾向があるように思っています。

 知りたいこと

 結局、自分は本当はどうしたいのか、いつも考えていてわからなくなるのですが、こうして書き出してみると少し冷静になれます。

 私は「好きだったことが好きでなくなることがつらいので、壁にぶつかって楽しくなくなった時、どうしたらまた楽しくなるのか」が分かっていないような気がしています。なぜ楽しくなくなるのかは、上で書いたような要素が邪魔をするからではないかと思うのですが、では、楽しくなくなった時に、また楽しめるようになるには、どうすれば良いのか。過去2回は、離れて、そのまま復活しませんでした。だからまたやめてみる、というのはもうそのまま離れていくことになる気がして、怖い。かと言って、今やりたくない気持ちのまま、無理矢理書くのもつらい。どうしたら、昔のように楽しく書いていた状態に戻れるのか。それが知りたい。「自分なりに、自分のペースで、楽しみたい」。

 そして、私と同じような体験をした人がもしいたなら、どうやって壁を乗り越えたのか、聞いてみたい。心の中では、諦めたくないんです。自分に今必要なのは、今嫌なことでも無理矢理でも続けていたらいつか楽しくなると信じてやり続ける根性なのか、それとも価値観そのものを変えることなのか、どっちなんだろう。正直、「自分はひとかどの人物になるみたいな夢は諦めたけど、今はそれなりに楽しいことも見つかって幸せだよ」みたいな物分かりのいい意見は聞く気になれないんです。

 いつの日か、それがわかった私がこれを読んで、供養できるように、ここに遺します。

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