そこにある風景

一月が終わります。今年の冬は寒かった。

延滞気味になっていた図書館の本を返し、新たに本を四、五冊借りてきました。河出書房新社から出ている日本文学全集の「日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集」が収穫の一つでした。目付けをせずに借りた本なのですけれど、手に取った時に宇治拾遺物語の「滝口道則が術を習った話」に開き癖がついているようで、読んでみると何とも笑える話で、他の話も興味深く、当たりの本を見つけた、ふふふと思いながら帰りました。買いたいと思える本に出会えるのが、図書館の魅力の一つです。

本とノートとペン、ふせん、ブックオープナーにタイマー。一通り入れた小さいバックを職場に持っていくようになって2ヶ月くらい経ちます。職場でのお昼ご飯はここ最近1人で、デスクではない人気のないところで食べると決めていて、何となく心細く、たまには他人と会っておしゃべりしながら食べたいのですけれど、それでも1人で食べるお昼は、その後に好きな本を読めるので、良いものです。

寝る前のストレッチ。咬筋、側頭筋をほぐすことから始まって、首の脇、腕の付け根、背中、腕とほぐしていきます。全部やっても30分もかかりません。いつもできるわけではないのですけれど、これも1年くらいポツポツと続いている習慣です。

こちらも図書館で見つけた買いたい本です。買いたい本リストに仲間入りしました。荒川洋治「霧中の読書」。風景についてのエッセイがありました。何の変哲もない普通の風景。そんな風景でも、詩情によって表現されると、表に浮かんでくる。本当にその通りですよね。胸を掴んで離さないような風景。拭がたく自分に染み付いた風光。旅行で友達が遊びにきたとして、わざわざ案内するのは憚られるかもしれない、それくらいの普通の風景。それでも、いつも降りるバス停から家までの風景、秋だけに香ってくる金木犀、道沿いの植木の木香薔薇、いつも当たり前のようにそこにある海。街。そういう風景が、誰の中にもあるということに、たまらなくなります。その人の中にある風景に触れることはできないですが、それを眺めることができるかもしれない。それが文学であり、詩であり、音楽なんでしょうね。

(ねこやなぎ)

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