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【怪奇ファイル008】恐竜と人類が共存していた証拠の話

 その日。私は久しぶりに一人でパチ屋に向かっていました。普段は3人チームで活動しているのですが。今日は休みです。要は『パチスロを打ってお金を稼ぐ』が休みです。

 なのに私はパチ屋へ行きます。行く必要が無いのに。おかしいよね。これはきっと『わけあり』です。言えない事情があるかもしれない。首を突っ込むべきではない。もしもあなたが紳士ならば。

 よって。これ以上の詮索は無用。とにかく私はパチ屋に行きます。パチスロが休みなのにパチスロを打つ気でいます。理由は聞かないで欲しい。これが俗に言う『ギャンブル中毒』です。クズの末路です。

 しかし当時は私も若かった。この事実に気づいていません。多少はクズの自覚がありましたが。50歩100歩で言うと50歩だと思っていました。闇金に手を出すのが100歩です。

 しかしながら。今考えると。私は100歩でした。働かないのは100歩です。働いていても会社や家族に迷惑をかけるのも100歩です。適度に遊んでいる方々が50歩なのです。100歩の私は50歩の彼らに頭が上がりません。

 だからすれ違う人々に敬意を払いながら近所のパチ屋に向かいました。いつもお仕事ご苦労様です。あなたたちが払った税金によって、私はこの社会に守られています。

 というか。私だって仕事をもらえたら働きます。仕事がしたくないわけではありません。内定がもらえないだけです。要は面接官が悪いです。

 そういえば。これは世界の常識ですが。現代日本の不景気を作ったのは一昔前の面接官です。働く意欲のある若者に『職を与えない』という嫌がらせをしたせいです。

 だって一回落ちると嫌な思いをします。次の職を探すモチベーションが下がります。もう働きたくないです。そうやってニートを増やしていきました。

 本当は面接で簡単に落としちゃいけないのです。もっというと簡単に募集してはいけません。5人補充したいのに100人応募が来たら95人が嫌な思いをします。95人がニートに一歩近づくのです。

 こんな先の事が考えられない自己中企業が世の中に繁栄しているせいで日本経済が悪化していきました。いつだって市場を破壊するのは先が読めない自己中企業です。

 例えば『激安』が売りの企業が伸びるとエスカレートした結果20年後にデフレが来ます。自分だけ飛びぬけようとした結果です。その市場が死にました。

 つまり『落とす面接』をやっている企業は社会の悪です。たくさんの人に応募をさせて厳選している企業は未来が読めない幹部の巣窟です。今は伸びていてもすぐ業績が悪化します。だって先が読めないから。その会社で定年まで働ける可能性は低いです。

 これが俗に言う『反社会的思想』です。かっこよくいうと『ロック』です。自分の不幸を社会のせいにする。見事な反社です。クズの末路です。


 でもそんなことはどうでもいいです。それで。時刻は1時頃でしょうか。誰も起こしてくれないのでお昼に起きました。誰も起こしてくれない社会が悪い。とことんこの社会は私の邪魔をしたいようです。でもめげません。昼からでもパチ屋に行きます。偉いと思う。仕事出来そう。

 しかしながら。お昼時なのでお腹が空きました。もうパチ屋は開店しているのでいつでも入れますが。このまま何も食べずに打ち始めたら途中で餓死してしまうかもしれない。メダルを流さず打ちながら倒れるとは無念です。

 つまり。また社会の罠です。私が起きる時間を狙って『お昼ご飯の時間帯』を設定してきました。私にパチスロを打たせない気でいます。とことんこの社会は私の邪魔をしたいようです。

 でもめげません。だったら昼めしを食べてみせる。私は社会の用意した試練に立ち向かうことにしました。ロックの神様、勇気をください。


 駅前に行くと飲食店がたくさんあります。その中でまず私の目に飛び込んできたのは某ハンバーガーのチェーン店です。ここで食べるのが無難な選択肢だと思われます。

 なぜなら早いから。ファーストフードは伊達じゃない。サッと食べてパチ屋にすぐ行けます。時間を無駄にしないのが現代社会を生き抜くコツです。社会からの挑戦状を受けている身としては『これが答えだ』と言わざるを得ない。

 さらに私は一人で飲食店に入れないタイプです。何回もみんなと行ったことがあるハンバーガー屋だったら一人でも入れます。その辺の入ったことがない定食屋は難しいです。入りたいけど入れずに店の前をウロウロします。

 以上の点を入力して。私のCPUに演算させた結果。ハンバーガー屋に入るのが最適解だとはじき出されました。だからハンバーガー屋に入ります。

 というのが社会的な行動です。しかし今の私は反社会勢力です。税金を払っていません。かっこよく言うとロックンローラーです。つまり答えはノーだ。あえていばらの道を進みます。楽を覚えると人はダメになる。私はハンバーガー屋をスルーしました。


 次に私の目に止まったのが『恐竜飯店』です。駅前に新規店がオープンしていました。何屋か分かりませんが。とにかく名前がかっこいい。ロックンローラーならスルー出来ません。かっこいいが正義です。

 おそるおそる。中をのぞいてみると。トリケラトプスがいました。草を食べています。プテラノドンもいました。魚を食べています。つまり。白亜紀です。そこは恐竜全盛期でした。

 みんなが知ってる有名な恐竜はほとんど白亜紀の恐竜です。ジュラシックパークはジュラ紀から来ていますが、中にいる恐竜は白亜紀の恐竜ばっかりです。

 でもそんなことはどうでもいいです。ここはスルーします。アロサウルスに見つかる前に。私の方が食べられそう。

 

 次に私の目に止まったのが『恐竜寿司』です。駅前に新規店がオープンしていました。回転寿司なら入れないことはないですが。とにかく名前がかっこいい。ロックンローラーならスルー出来ません。かっこいいが正義です。

 おそるおそる。中をのぞいてみると。モササウルスがいました。プレシオサウルスもいました。分かりにくいですが白亜紀です。ここも恐竜全盛期でした。海の恐竜がいます。アンモナイトもいました。

 でもそんなことはどうでもいいです。問題は。寿司が回っていないこと。回らず寿司でした。ここはスルーします。値段も高そうだけどそれより人見知りの私は注文できません。

 

 次に私の目に止まったのが『恐竜土偶』です。駅前で発掘されていました。恐竜土偶とはメキシコで発掘された恐竜の土偶です。分析の結果。紀元前2500年辺りで人の手によって作られたと言われております。

 しかしながら。紀元前2500年は恐竜は絶滅しています。そして紀元前2500年の人々が恐竜の存在を知っているはずがない。つまりオーパーツです。時代に合わない謎の発掘品です。

 でもそんなことはどうでもいいです。問題は。恐竜土偶は飲食店ではないこと。土偶です。店じゃない。ここはスルーします。一つ拾ってポケットに入れました。


 結局。新規店を3件見た結果。収穫ゼロです。私はハンバーガー屋に戻りました。やはり現代人の昼食と言えば手軽に食べられるファーストフードが一番です。

 昼食を食べながら。先ほど拾った恐竜土偶を眺めていました。しかしなぜこんなものが存在するのでしょう。謎は深まるばかりです。

 まだ判明していないだけで本当は人間と恐竜が共存していた時代があったのかもしれません。

 

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