見出し画像

あどけない出会いの話

ある山の中
温かい日差しの中でいた。
すると、毛並の美しい黒い狐が寄ってきた。
随分と昔からいるようだった。
『何か…?お帰りになられませんと
心配されますよ。』
と声を掛ける。
『お前の、その心のものを突いてみようか』
と、面白そうに言うその狐は笑っていた。
『要らぬことですよ。どんなものであっても
諌めることが良いんだよ。
これは、どういうことかと聞くか?
この場所と同じく、呼吸をするような
ものだよ。息吹のようなものだよ。
自然にあるものがそこに生きていることが
ごく自然な流れであるように…。
受け入れるということだと理解している。
心にあるものを諌めた先に見えるのは、
あなたも知っているはず…。』
そう答えると、狐はつまらなそうに息をついた。
『お前は何だ?』


と聞く狐にゆっくりと答える。
『さぁ…。ここでゆっくりしてるだけだよ。
私と居ても、何も無いよ。つまらないと
感じるだけだよ。』
それを聞くと、しばらく居たあと
姿を消した。

どこへ行ったかは知らない。
ただ、時折姿を変えては来るが、
やはり美しい毛並や、
美しい瞳で同じ狐とわかる。
だから、同じ答えを返す。

不思議な出会いの話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?