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作り話6

ある日、女性は人里まで降りていました。
そこで目にした光景は、絶望と呼ぶに相応しい
目を覆うような悲しいものでした。
そして、裏切り、悲しみ…
失意から力が弱っていく…の姿でした。
女性の湧き出る感情は、抑えがききません。

女性は諭すように、湧き出る怒りからか、
怒りを越えた憐憫からなのか…ゆっくりと
声を抑えながら言いました。
「このような事になるのなら…」
女性の姿は、銀の色の光となり、
まるで伐折羅(バザラ)ような姿になっていました。
女性は、そのまま…を飲み込んでいきました。
弱っている…に刺すように光が飛び込み
飲み込まれるように消えていきました。

女性はまた、人里離れたあの場所へ戻り
草の上に座り込むと、空へ向けて
力の限り言葉にならぬ声で叫びました。
何もかもを飲み込んでしまうような
悲しい、哀しい叫びでした。
女性の周りには、同じ銀の色の光が
寄り添っていました。

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