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わかりあえないからこそ、ね 日刊ねこvol.9

甘えんぼうすぎる4歳の元保護猫と、うつで引きこもりがちの乳母(わたし)のやさしい共依存ライフ。陽気な彼氏もいます。

ペットに赤ちゃん言葉で話しかけることを恥ずかしいと思っている。
語尾が「〜でしゅね」とか「〜なんでちゅか?」とか。なぜ舌足らず風になる人がいるのか、とても不思議がってきた。

猫と暮らしはじめて、なんとなくその人たちの気持ちがわかる気がしてきた。語尾こそ変わらないものの、私も猫に話しかけるときは完全に「猫撫で声」になっている。

私が猫撫で声になる理由は大体こんな感じだ。

・高い声を猫が好むから
・いま怒っていませんよ、のアピール
・他の誰でもなくあなた(猫)に話しかけてますよ、という意思表示

一つめと二つめは少し似ていて、要は「敵意ありませんよ」ってことだ。反対に、猫がいたずらをした時は低く鋭い声で注意するようにしているので、高く柔らかい声を聞くと安心するのかもしれない。

三つめはわりと単純で、彼氏に話しかける時は当然猫撫で声じゃないので、高い声だと猫が「自分に話しかけてる!」と気づきやすい。

ざっとこんな理由で私も猫撫で声になってしまうのだが、それでも人間の言葉がわからない猫に対して、ヒトの言葉で話しかけるのにはなんだか引目がある。

気恥ずかしいのもあるけど、その裏に隠れているのは「こちらのツール(言語)で伝えるしかない」ことへのもどかしさ、申し訳なさ。いつかテレパシーや尻尾の具合を身につけて、猫に不便のないようにコミュニケーションを取りたい。

でも不思議なもので、猫の方も無言で撫でられるよりも、何か話しかけられながら撫でられる方がご機嫌そうだ。「今日も可愛いねぇ」「ご機嫌さんですね」ひとつひとつの単語は分からずとも、こちらの意図は伝わっていそうだ。我が家の猫は、喉を鳴らすゴロゴロ音の大きさと表情でわりと機嫌がわかりやすいのでとても可愛い。(そして人にくっついていれば始終ご機嫌でもある)

人間都合の葛藤や申し訳なさなんてへっちゃらで、猫は猫の好きなように過ごしてくれている。そんなことが、うつでコミュニケーションに臆病になりがちな私の心をかなり楽にしてくれているのだ。

言葉ではわかりあえないかもしれないけれど、これだけは伝わっていてほしいな。
いつもありがとう、猫ちゃん。




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