猫の発話と情操教育 日刊ねこvol.11

甘えんぼうすぎる5歳の元保護猫と、うつで引きこもりがちの乳母(わたし)のやさしい共依存ライフ。陽気な彼氏もいます。

愛しの猫に初めて会ったのは約3年前。
とても顔が可愛いのに、その頃は「ギャー(だみ声)」としか鳴かない変な猫だった。

一緒に住み始めてからも、その鳴き声は変わらず。重ねて、かまってちゃんなこともあり「あそんでー!」「なでてー!」と昼夜を問わず叫ばれ続けた。(ここから猫の鳴き声は大体意訳です)

しかし、これではマズい。私の生活に支障が出る。あっけらかんとしすぎな彼氏は大丈夫そうだが、私の場合は可愛い猫のことが気になって仕方がなくなってしまう。せめて、猫と私がお互いが暮らしやすいようにしたい。うーん。

今振り返って効果があったなと感じるのは、猫への情操教育(?)だ。

少し前に、猫に話しかけることについて文章にしたが、ああやって声の高さを変え流など工夫したことが猫の発話も変化させたように思う。

「ぎゃー!」と鳴かれても、穏やかに「どうしたの?」と返す。
「ぎゃー!」「おこらないで、ちゃんと聞いてるからね」
「ぎゃー!」「なでてほしいの?(ナデナデ)」

などなど。いくら猫とはいえ、耳元で叫ばれると結構こちらの神経も尖ってしまうのだが、そこは人間。落ち着いて相手の要求を汲み取るように心がけた。

何より私の助けとなったのは、「この猫はこちらを困らせたくて叫んでいるわけではないんだよな」という心構え。この子はいま、こういう発話の仕方しかできないのだから非があるわけではない。受け取る側が落ち着いてさえいれば、どんなにだみ声で叫ばれても大丈夫。

根気強く対話(?)を続けるうちに、猫の方がいろんな鳴き方を習得していった。高い声、低い声、短い声、長い声。「ぎゃー!」から、「まぉ」「にゃーん」「あー」「ぁお?」「ふんふん」など。

今では本当に様々な声色を使い分けて、こちらに話しかけてくるようになった。正直、私は感動している。長い長い夜泣きを経て、やっと喃語や短い単語が出てきた乳児の親の気持ちに近いかもしれない!

猫は通常、猫同士のコミュニケーションに鳴き声をほとんど使わないとされている。飼い猫が発話するのは、飼い主の気を引きたいから、というだけらしい。

我が家の猫もきっとそう。根気強く話しかければ、猫も猫なりにバリエーションを持って対話してくれるようになるのだ。いつも人間の方に付き合わせてばかりな気がするけれど、猫も以前より楽しそう。前は聞けなかった、「たのしいー!」を聞き分けることができて私もとっても満足だ。

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