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映画「学校」は今こそたくさんの人に観て欲しい、と願う。

21歳〜26歳まで映画に関連する仕事をして、仕事が変わってからも映画をたくさんみてきた(たぶん1000本以上?)私が、最も愛する映画のひとつが「学校」です。

1993年11月6日に公開された日本映画で、主演は西田敏行さん。夜間中学校を舞台に「幸福とは何なのか?」を考える先生と生徒の物語。

深い話しをしていく前に、まずは出演者と役名を紹介しておきますね。カッコ内は役名です。

出演者と役名と役どころ

西田敏行さん(黒井先生 あだ名は「黒ちゃん」)
夜間中学校の先生。たぬきというあだ名で呼ばれていて、夜間中学校での教育に強い情熱を持った先生です。パイプを愛用しており、よく学校近くにあるラーメン屋にいっています。

田中邦衛さん(猪田幸男 あだ名は「イノさん」)
壮絶な幼少期時代をすごし50代になるまで読み書きができず、とあることがきっかけで夜間中学校に通うようになった、黒ちゃんのクラスの生徒の一人。競馬が大好きで、カタカナの書き取りが苦手だけど問題を「おぐりきゃっぷ」に変えたとたんに、自信満々で書き取りにチャレンジする。酒癖が悪い。

萩原聖人さん(役名はカズ)
どこのクラスにも一人はいるムードメーカー的存在。昼間は清掃の仕事をしながら、夜間中学校に通っている。軽口をたたくが、クラスメイトのことを思う優しい青年。

裕木奈江さん(役名はミドリ)
懐かしのソバージュヤンキー娘。家にはアルコール中毒の父親がいるようで、家に帰りたがらない。昼間の中学校でのとある事件をきっかけに、夜間中学校に通うことになった。

中江有里さん(役名はえり子)
見た目も発言も服装もすべて優等生。とても優しい人柄。昼間の中学校で不登校になってしまい、夜中テレビで偶然夜間中学のことを知り通うようになった。

神戸浩さん(役名はオサム)
脳性麻痺の障害があるために夜間中学校に通っている(作中で入学の経緯は描かれていないので想像です)。すごくほがらかで愛されキャラ。イノさんと特に仲がよい。ミドリとも仲がよい。

新屋英子さん(役名はオモニ)
黒ちゃんのクラスのお母さん的なキャラクターで、黒ちゃんも叱られることがある。焼肉店を経営しているも、幼少期にお金がなくてとても苦労してきた。

翁華栄さん(役名はチャン)
日本と中国のハーフで、母親のツテで日本に来るも文化の違いに馴染めず、仕事をいくつか変えてきたようです。ちょっと傲慢な態度をとることもあるが、優しい一面も持っている青年。

竹下景子さん(役は田島先生)
夜間中学校の英語を担当する先生。バツイチで小学生くらいの息子がいる。どこからどうみても美人教師。


学校という映画の構成

学校という映画は、大きくわけると2つのパートから構成されています。

一つは、卒業文集に掲載する作文を書く授業を通して、登場人物の過去の出来事を振り返っていくパート。

もう一つは、夜間中学校の全員に起こる出来事をきっかけに「幸福とは何か?」を考える授業のパート。

1993年と、20年以上前の映画なのでレビュー記事とかではネタバレした上での考察がされていますが、あえて私は核心部分についてはネタバレ無しでいこうと思います。理由としては、一人でも多くの人にこの「学校」という映画を観て欲しいからです。


登場人物過去パート

イノさん、カズ、ミドリ、えり子、オサム、オモニ、チャン、の夜間中学校にきてからのエピソードがオムニバス的に展開していきます。オムニバスといっても完全に別々ではなく、それぞれに繋がりがあります。

個別のエピソード紹介はあえてしませんが、それぞれが抱える悩みや問題、心の葛藤などを丁寧に描いています。決して派手な展開ではないのですが、ひとつひとつの台詞にしっかりと意味があり、考えさせられます。

一人のエピソードはそんなにボリュームがあるわけではないのですが、登場キャラクターにがっつり感情移入してしまうことでしょう。

ひとつだけ印象に残っているシーンを紹介しようと思います。辛いことがあった事をえり子が黒ちゃんに打ち明け一緒に帰るのだけど、そこで黒ちゃんこと西田敏行さんが、鉄腕アトムのテーマ曲を口笛とともに口ずさむ。このシーンが、なんともいえず心にスッと入ってきて、毎回涙してしまいます。


幸福とは何か?パート

それぞれに悩みや課題を抱えた夜間中学校。黒ちゃんのクラス全員で「幸福とは何か?」を考え、議論し、ときには感情が溢れ出したりしながら、結論をだしていきます。

ネタバレしないとなると、このパートのことはこれ以上は書けません汗。

仕事がうまくいかなくてイライラしたり、人間関係に悩んだり、プライベートがうまくいかなかったり、人には誰しも「幸福だと思えないとき」があると思います。そんなときに、この「学校」という映画をみると、穏やかな気持になって、自分にとっての幸福が何なのかを思い出させてくれます。

私はたぶん、この学校という映画を、映画館で観て、DVDを買って観て、最近ではNetflixで観て、通算で100回以上は観ています。ということは、思い悩むことがこの約30年くらいで100回以上もあった、ということなんだと思います。100回以上も心を癒やし励ましてくれた映画は、他には無いのではないかな、と改めて思いました。

ちょっとした余談ですが、歌手の大江千里さんが医師役で出ているのですが、とってもいい味だしてますので、登場シーンを楽しみにしてください。


私の号泣シーン

この映画にはいくつもの涙してしまうシーンがあるのですが、私にとっての一番の号泣シーンは、幸福とは何か?パートで、ミドリが夜間中学に入るきっかけの話しをするシーンです。もうね、このシーンはダメです。ボロボロ涙が出てくる。


ぜひ「学校」を観てください

この映画の監督は山田洋次さん。邦画好きに知らない人はいない、日本が誇る超名監督です。山田洋次監督といえば、「男はつらいよ」「家族」「幸福の黄色いハンカチ」「息子」「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」「武士の一分」「東京家族」「家族はつらいよ」などなどなど、たくさんの名作を作られています。山田洋次作品はかなりの数観ていますが、私の中のナンバーワンはこの「学校」です。

1993年公開の映画ですから、たしかに古さは感じます。でも、この映画で語られる「幸福とは何か?」は、年代関係なく心に響くテーマです。私のように40代を超えたおっさんも、映画公開時には生まれていなかった20代の若い人にも、ぜひ観てほしいです。

それから、学校はシリーズ化されていて、学校2・学校3・学校4もおすすめです。学校を舞台にしているというシリーズの共通点はありますが、学校2は養護学校、学校3は職業訓練学校、学校4は学校に行かない少年の旅、となっています。

学校シリーズは全作品が名作だと思いますが、まずはシリーズ1作品目でもある「学校」から観ることをおすすめします。


ということで、私はこれから「学校」を観ることにします。


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