ため息67:草刈場
慶応ボーイでサラリーマンを日電からスタートされた営業マンの話です。米国市場で仕事をした経験があり、外資系に転職されてからは、堪能な英語、米国での体験を背景にした国際感覚そして有益な人脈を、有効に活用されています。
株式上場を視野にいれた営業力強化の一貫として、某IT企業は営業のリーダーとしてこの人を迎えました。35%は外資系の会社の資本がはいっている会社ですが、残り65%を占める民族系の企業風土に徐々に変質していく時機と重なりました。
とりわけ、200億の営業目標のうちで3億に満たないパッケージ(自社開発のソフトウェア)の業績不振について、2泊3日で開催された幹部社員全員参加の営業戦略会議で、討議時間の大半をこのパッケージに関する話題に使った技術系役員に対して、失望したようです。
属人的にこの技術系役員の不適切な経営姿勢を問題にするのは時間の浪費にしかならないのですが、このとき、営業本部長としてこの会社で貢献しようと思う社員のモチベーションを、会社は失いました。
営業責任者として就任してわずか6ヶ月、この営業戦略会議の後、転職活動を始めました。そして3ヶ月後には次の職場が決まっていました。外資系の会社の営業部長のポストにつき、3ヶ月後には優秀セールスマンとして夫人同伴でハワイに報奨旅行に行っているような有能な方でした。
専務がヘッドハンティングで釣り上げた金になる魚を、格下の平取がリリースしてしまいました。しかしながら、機会損失(タラレバ)は経営責任の対象外なのでしょう。この会社はその後もこの平取のご乱行で幹部社員の流出が続きました。優秀なSE(システムズ・エンジニア)の草刈場でした。
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