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ため息429:外資企業で、24時間臨戦態勢で働いていたときのこと

外資企業で、24時間臨戦態勢で働いていたときのことです。
24時間というのは、グローバルマーケットを相手にした場合、時差の関係で、四六時中、どこかのマーケットが開いているので、緊急時に備えて常にスタンバイしていないと負けてしまうという意味です。

デスクに座った瞬間、自分のビジネスアワーがはじまります。チャットみたいなもので、在席中のサインをだすことによって、G8を中心とした市場での会社のビジネス活動に参加する意思表示をします。しかし、各国の取引先が相手にしてくれなければ、半年先には雇用契約が延長無しの解除となり退場となります。

こういう会社で、現地採用の非正規社員の従業員が、正社員として雇用してほしいと要求しました。他の正社員の反応はありません。アルバイトが正社員になるとかならないとかは、自分たちの待遇に関係がないと考えるからです。アルバイトが正社員になれば本人の給料は増えるかもしれません。
もし正社員に登用され、他の正社員の仕事を奪うことになれば、奪われた社員の評価がアルバイトより劣った結果です。生き残るためには、成果をだし、評価される実績を積み、摺るべきゴマは摺らなければいけません。それがいやなら、自分がボスになればいいのです。

この現地採用の従業員にはひとつ事実認識が足りませんでした。正社員の雇用契約の期間は1年で半年前に契約を延長するか否かの査定があります。したがって、設定した目標を年度末までに達成し、さらに半年後には新たに設定した目標達成の見通しを立て、コミットメントをしなければなりません。これができなければ、5年連続で目標達成したとしても、6年目はありません。成果物を求められる契約社員なのです。事務処理専門のいわゆるオフィスクラークは、パートさんの仕事であるという職場です。

給料に差はあっても、身分は半年しか保障されません。反面、雇用契約の継続をしないつもりなら、半年間は有給で求職活動ができます。いままでどれだけ利益に貢献したかを属人的な側面から強調し、ボトルネックは経営者の資質に起因することを主張し、売り込みをかけます。
こういったことが可能なのは、当時の労働市場でも概ね35歳までとのことでした。

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平史理 taira fumitoshi
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