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チェックインで感じたよろこび:ひとり旅と出会い①

「ひとつすごいことを言ってもいいかな?君の誕生日と僕の誕生日、なんと同じ日だよ!」

これは、ウィーンの国際空港近くのホテルで、ホテルマンが私のパスポートを見ながらおどろいた顔で言った言葉だ。

12日間のヨーロッパ三ヶ国ひとり旅。ウィーンに住む友人と夜6時ごろに、急いで荷物をまとめて別れた。次の日はフィンランドに向かう予定だった。早朝の乗り継ぎ便に乗る予定だったため、私はウィーンの空港にほど近いホテルに宿泊することにしたのだ。

友人と別れてからしかし、私は不安だった。ウィーンの中心地から空港までは、多く見積もっても、トラムと電車を乗り継いでも1時間弱ほどで着く。
それでも、夜の移動は心細かった。トラムにはほとんど人が乗っておらず、カーブでギーと音がするのが不安を増幅させた。

だから無事にウィーン空港駅に着いた時は、ほっと胸をなでおろした。幸い、ホテルも空港に直結している。

安堵と疲労を抱えてホテルに入ると、そこはまるでバーのような照明と雰囲気だった。けれど決して危険ではないのは体感としてわかる。ホテルのコンセプトなのだろう。照明が落とされたフロントにはバーカウンターがあり、チェックインの場所も同じだ。カクテルを作っているスタッフの横で、旅行客や出張者がチェックインをしている。

チェックインの際には、私は外国人であるからパスポートを見せることになっている。
ハイ、元気?ウィーンは観光?どうだった?天気良かったでしょ?などと挨拶程度の会話を交わした末、パスポートを見たホテルマンは、おどろいて、上記のことを言ったのだった。

私はこれまで、同じ誕生日の人とは日本で一人しか会ったことがない。これは奇跡か?それともこの人は盛り上げようと言ってる?と疑念が浮かぶ。しかし、そんなものは必要なかった。

私は誕生日がほとんど年越しの日に近い。それゆえにクリスマスと誕生日とお正月と、全てひとまとめにして祝われるのだ。そのことを話すと、
ホテルマンは言った。「プレゼントは、大きいものひとつだった?小さいものがいくつももらえた?僕は全部ひとまとめの大きいの一個だったよ。いつも。」

宿泊客はウェルカムカクテルを作ってもらえる。カクテルを作ってくれるのを待ちながら、私はこの時の会話を反芻した。

留学初日はチェックインもままならないほど英語が話せず震えていた。しかし、このとき、留学から一年がすぎていたが、会話を楽しめるほど話せるようになった。そして、偶然予約したホテルのフロントで、同じ誕生日のホテルマンと出会った。

カクテルは部屋でひとり、疲れを癒すために飲んだ。彼の顔はもう覚えていない。けれど地球のどこかで、同じ日に「誕生日おめでとう!」とメッセージをもらっているのかな、と思うと、なんだか心がほころぶ。たとえ時差はあったとしても。

(写真は夕暮れが映えるウィーン)

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