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海星vs日本文理 どこよりも詳しく見どころ解説

第104回 全国高校野球選手権大会
海星(長﨑)vs 日本文理(新潟)

将来性豊かな注目の本格派右腕対決!

甲子園ではおなじみの両校の対決となった。
ともにエースは長身でガッシリとした体型から150キロ近いストレートを投げ込む、プロ注目の本格派右腕である。

また両校ともに打線も活発で勢いに乗れば一気に上位進出も狙える、
実力校同士の注目の一戦だ。

投手力

海星はこの夏、エース宮原と向井の2枚看板で勝ち上がってきた。特にエースナンバーを背負う宮原の投球に注目だ。182cm90キロという体格から投げ下ろすMAX147キロのストレートが大きな武器。ただストレートは常時140キロ前後で、ピンチになるとギアを上げて140キロ台中盤の速球を投げ込む。縦のスライダーを低めに集めてカウントを取れるのも強みである。
ただ決勝の創成館戦では立ち上がり、ストレートが高めに上ずるシーンが見られた。本来は制球力が悪いわけではないだけに、立ち上がりの出来に注目したい。控えの向井は変化球を軸にした投球で打たせて取るタイプだ。
また長崎大会5試合でエラー1つと安定した守備も光った。中でも西村捕手の強肩ぶりに注目して欲しい。

日本文理は今大会注目の好投手、エース田中の出来が大きく試合を左右する。186cm92キロと海星の宮原投手に負けない立派な体格だ。新潟大会で150キロを記録した速球と切れのあるスライダーは攻略が難しい。
昨年からエースナンバーを背負い、新潟大会では素晴らしい投球をみせた。しかし甲子園では初回から制球に苦しみ、甘く入ったところを敦賀気比打線に集中打を浴びて悔しい初戦敗退となった。新潟大会を見る限りでは昨年よりもコントロールが格段に成長していると感じた。
秋から「田中に次ぐ2番手」がカギだったが右腕の村越が大きく成長し、新潟大会で四死球0と抜群の安定感を見せたのはプラス材料だ。

打力

丸本、森、西村と続く海星の上位打線は非常に力がある。中でも高校通算26本塁打の4番森は小柄ながらパンチ力があり、海星打線の中心を担っている。左足を大きく上げる独特のルーティンにも注目していただきたい。盗塁は1試合平均1個以下、犠打は3個以上と機動力で揺さぶるよりも、バントで送るオーソドックスな攻撃スタイルと言える。
打線に力はある一方で秋は九州大会の甲子園がかかった試合で有田工の塚本投手に完封負けを喫し、夏の長崎大会でも準々決勝の鹿町工戦でも相手投手のコーナーワークに手を焼いて何とか勝利した。加藤監督も「本来は守りのチーム」と称するように甲子園でもきっちりと走者をすすめる得意の形に持ち込みたい。

日本文理も打線は活発だが、中心選手は打つ方でも3番の田中に注目が集まる。昨年の甲子園でも鋭い振りを見せつけた。この夏はそこまで大当たりではなかったが、2回戦で逆方向にライナー性の満塁ホームランを放ったように長打力は健在である。田中の後を打つ高橋、玉木もこの夏はコンパクトなスイングに徹したが本来は非常に長打力がある強打者だ。ただ上位打線と比べると下位打線が少し弱いのが気がかり。ここがつながりを見せると相手投手に与えるプレッシャーは大きくなるだろう。
犠打、盗塁ともに少なく、攻撃のバリエーションが豊富という打線ではない。打って繋いでいくためにも下位打線の奮起がカギを握るかもしれない。

この試合のポイント

やはり宮原、田中の二人のエースの出来が大きく試合を左右するだろう。
両投手がともに本来の投球が出来るようであればロースコアの接戦が予想される。

ただ両投手ともに好投手なのは間違いないが、懸念点が無いわけではない。

まず宮原投手は立ち上がりのコントロール。
日本文理としてはボール球に手を出さず、甘い球を積極的に狙っていきたい。
そして田中投手は新潟大会決勝で人差し指に血豆が出来ていた点。
血豆により練習不足も懸念されるだけに調整次第では、田中投手本来の力が発揮できない可能性もある。

いかに平常心をキープして試合に臨めるかという、好投手の最大の条件である「精神力」が試される試合になるのかもしれない。

甲子園ラボ


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