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家庭用エアコンメーカー、どう売上を伸ばしますか?【コンサル面接解答集/戦略立案】

はじめに

ケース面接対策道場のケース侍田中です。
ケース面接対策でうまくいかないことが続くと、「自分は頭が悪いんじゃ…?」と自己嫌悪に陥ってしまうことってありますよね。
私も、以前そうでした。
自分がケース面接対策で苦労した経験から、わかりやすい丁寧なケース面接対策のコンテンツを発信しています。

この解答例は良問を選んで、解答したものです。
実際の面接のディスカッションを想定して作られており、各ポイントも記載されています。

一連の流れ、考え方をぜひケース面接対策の参考にしてみてください。

前回の【フェルミ推定】の記事はこちら↓↓↓

問題2:とある家庭用エアコンメーカーの売上向上戦略

面接官「家庭用エアコンメーカーの売上向上戦略を考えて頂きたいと思います。5年で1.5倍増の依頼がきたとして考えてみて下さい。時間は5分で考えてもらって、発表をお願いします。質問ありますか?」


(1)前提確認

田中「確認させてください。まず、家庭用エアコンメーカーですが、指定はありますでしょうか。
特段なければ、私の家にもあり大手家庭用エアコンメーカーと想定されるPanasonic社を想定して検討してみたいと考えます。
また、今回はPanasonic社の全社ではなく、家庭用エアコン事業部の売上向上を検討することでよいでしょうか。」

面接官「はい、Panasonic社の家庭用エアコン事業部を想定してもらってよいです」

田中「承知しました。Panasonic社の家庭用エアコンメーカーとしての位置付けですが、大手になりトップシェアメーカーとして想定してもよいでしょうか?」

面接官「そうですね、ポジションニングは自由に設定してもらってよいです」

田中「承知しました。それでは、質問は以上になります。検討させて頂きます」

★ポイント
検討対象となる企業、店舗等は面接官と必ず擦り合わせよう。
「とあるxx」と出題されたら、具体的な設定がポイントになる。
どこにでもある一般的な仮定で検討を進めると検討が深まらないからだ。
今回、田中の確認は自宅にあり個人的にイメージがしやすく、かつ、一般的にエアコンメーカーと聞いて不自然のないPanasonic社としてみた。
イメージの齟齬をなくすため、思考時間前に面接官と擦り合わせしよう。 

(5分後) 

(2)結論と結論に至る検討事項を述べる

面接官「いかがでしょうか?」
 
田中「はい、発表致します。
Panasonic社の家庭用エアコン事業を5年で1.5倍増に達成するために、ヘルスケアデータを活用した高機能エアコンの開発を提案します。
 
この打ち手に至った、Panasonic家庭用エアコン事業部の取り巻く環境、戦略の方向性、打ち手へと説明していきます。」

★ポイント
まず結論から述べ、そのあとに結論に至る検討事項について述べていこう。
これから何を説明していくか面接官の頭の中に目次を作るイメージだ

(3)取り巻く環境(=現状分析)を述べる

田中「取り巻く環境を市場動向、競争環境、自社のポジショニングを整理していきます。

■市場動向
まず、家庭用エアコン市場の動向ですが、家庭用エアコンは既に全家庭にいき渡っており、販売数量の伸び代は横ばい、ないし、人口減による減少が見込まれます。
また、エアコンはコモディティ化されており、性能、販売チャネル(家電量販店・EC)、価格、いずれの競争も激しいと考えられます。成熟市場と想定し、今後5年の市場動向は横ばいで推移すると仮定します。

■競争環境
そういった中でのPanasonicの家庭用エアコンの競合は、日立、三菱電機、ダイキンといった大手家庭用エアコンメーカーあげられます。
基本性能、価格、販売チャネルは各社横並びの印象です。
なお、アイリスオーヤマ等の機能を引き算した低価格に特化した商品も、既に市場でポジションを取っていると考えます。

■自社のポジショニング
Panasonic社は家庭用エアコンのトップシェアメーカーメーカーと仮定し、ブランド力、エ性能、価格、販売チャネルでも業界をリードしていると想定します。」

(4)大方針(戦略の方向性)を述べる

田中「取り巻く環境を踏まえPanasonic社の成長機会を考えていくため、Panasonic社の売上は『➀家庭用エアコンの市場規模』×『➁シェア』に分解して考えてみます。
『➁シェア』はトップシェア企業であり伸ばすことは限定的と考え、『➀家庭用エアコンの市場規模』の拡大を検討したいと思います。
『➀家庭用エアコンの市場規模』=『③家庭用エアコンの販売数量』×『➃単価』
と分解出来ますが、取り巻く環境より家庭用エアコンは、既に各家庭で必要台数の所有が浸透しており『③販売数量』の拡大は難しいと考えます。
『➃単価』は、家庭用エアコンはコモディティ化されていますが、現状のエアコン機能での非充足ニーズを埋めることでの単価向上の余地はあると仮定し、深ぼっていきたいと考えます。
なお、業界トップのPanasonic社ですので、下位の家庭用エアコンメーカーをM&Aしてのシェアアップも考えられますが、資力の問題や今回の題意とは合わないと考え検討から外しています」

(5)打ち手を述べる

田中「打ち手はヘルスケアデータを活用した高機能エアコンの開発になります。
エアコンによる室内温度は健康に直接的に影響し、健康は人によっては特別に強いニーズになりえることから、健康機能を向上するエアコンの余地があると考えました。
エアコン単体での健康機能向上は現在でも開発が進んでおり、機能性能向上の余地は少ないと思います。
ですので、他の健康家具・ウェアラブルデバイスとの連携を想定しています。
具体的には、寝具やウェアラブルデバイスで採取した健康データを、Panasonic社のエアコンと連携し、健康面に応じた最適な温度・風力等を調整するイメージです。
Panasonic社の家庭用エアコンの健康機能の強化により、エアコンを単なる空調管理から健康維持の必需品として転換させ単価増を狙います。
初期アウトプットは以上になります。
ディスカッションさせて頂ければと思いますが、いかがでしょうか」

(6)面接官との議論で考えを進める

面接官「発表有り難うございます。ヘルスケアデータを活用した高機能エアコンということですが、ターゲットは誰になりますか?」

田中「失礼しました。ターゲットは、特に健康ニーズが強い方を想定しています。
ですので、まず病気等で体調管理を特に求めている方、具体的には罹患者、シニア層、赤ちゃんがいる世帯が想定されます。
次に、健康だが更に体調をよくしていきた方、具体的には健康に特に気を使うスポーツ選手が良いと考えます。」

★ポイント
ターゲットを述べないと打ち手の説得力がボヤける。
打ち手のターゲットは忘れずに述べよう。

(7)他には?

面接官「なるほど。エアコン以外の寝具やウェアラブルデバイスからのヘルスケアデータの採取を前提とすると、消費者が寝具やウェアラブルデバイスの製品を購入していることや、他メーカーとの協業も必要になりますよね。実現のハードルが高い印象です。他に何か考えれますか?」

田中「おっしゃる通り、改めて考えますと、実現のハードルが高かったと思います。
他には、ここ数年で新しく生まれた需要として、コロナ禍によるリモートワーク需要に乗れないか考えます。
私の家もですが、オンライン会議の際に、余っているエアコンが設置されていない部屋で会議をする際には、温度調整がなされず不快さを感じています。
エアコンは価格帯が5~10万円であり手軽ではないこと、工事も必要で設置コストを要するので、設置コストを下げた3~4畳位のスペースで使える扇風機の様な気軽な冷房装置の様なものがあってもよさそうです。」

面接官「なるほど。既に移動式エアコンといった商品で販売されていますね。他にはありませんか?」

田中「既に移動式エアコンなるものがあるのですね。失礼しました」

★ポイント
田中は移動式エアコンを知らなかったが、知っているか、知らないかの問題なので仕方ない。一般常識として変じゃなければ知らないことはネガティブにならない。
気を取り直して、議論を続けていけばOK。

田中「それでは、これまでの議論ではエアコンの商品に焦点を当てて議論していたと考えますので、視点を変えて議論出来ればと思います。
家庭用エアコンを購入する消費者の購買決定要因を洗い出し、改善余地を考えてみたいと思います。
エアコンの購買決定要因は主に、

『➀価格』、『➁性能(省エネ、風力・温度設定) 』、『➂デザイン』、『➃耐久性(壊れないか) 』、『➄アフタフォロー』、『➅販売チャネル(購入のし易さ) 』、と仮定します。

このうち『➀価格』は既に単価増で発表しており、『➁性能』、『➂デザイン』、『➃耐久性』は商品に係るので、いったん置きます。
『➄アフタフォロー』は、購買時にはニーズが感じにくいと考え、『➅販売チャネル(購入のし易さ) 』を深堀ってみることにします。

エアコン購入タイミングを改めて考えると、新居を建てる際の設置、買替(故障等)が上げられ、販売チャネルは家電量販店、ECがメインと想定されます。

そのなかでも、新居を建てる際に家電量販店・EC以外の販売チャネル、具体的にはハウスメーカーと協業出来れば、売上が伸ばす余地がありそうです。

具体的には、消費者が家を建てる際にハウスメーカーからPanasonic社製のエアコンも含めて家を購入するイメージです。
Panasonic社はハウスメーカーにはバックマージンを渡します。
ハウスメーカーもPanasonic程の信頼あるブランドであれば消費者への販売はしやすいと考えます。
ハウスメーカーとPanasonic社で協力体制の実現は家電量販店・ECでの競争を回避出来、魅力的だと思います。
消費者としても、ハウスメーカーから新築住居の設計・建築時にエアコンの提案を受けることは、住居にフィットしたエアコンである信頼感が抱けメリットも感じられそうです。
また、住宅は数千万円を超えるなか、5-20万円のエアコン代金は住宅代金に含めると相対的に安く感じられます。
消費者の心理的な購入ハードルが下がることも、ハウスメーカー協業の利点としてあると考えます。

加えて、新築時に設置したエアコンが将来故障し買替る際には、他社製品と価格・性能に大差がなければ、同じメーカーの継続が見込めます。
つまりは、買替時もPanasonic社の家庭用エアコンを選ばれる確率が高まり将来のシェアの安定性にも寄与出来ます。

なお、ハウスメーカーとの協業が進めば、一般住宅に留まらず、アパート・マンションの大家さん向けへの販売にも繋げられ販路を拡大出来ると考えます。」

面接官「いいですね。他にはどうですか?」

★ポイント
“他には?“の質問を回答しても、さらに“他には?”とグイグイ質問されることも多い。苦しくなったら視点を変えていこう。

田中「そうですね、他に強いて上げるとすれば、『➂デザイン』で伸ばす余地はありそうです。
私の観測になりますが、家庭用エアコンは白い長方形のものが基本で、デザイン性に優れているイメージがありません。
生活していると自然と目に入る商品ですし、デザインを求めるニーズはあると考えます。
実際、バルミューダ社のオーブンレンジといったデザイン性が高く人気家電もありますので、エアコンもデザイン性を高める余地はあると考えます。」

面接官「いいですね。本日はここまでとしたいと思います。有難うございました。」


その他にご質問やリクエスト等ありましたらいつでもお待ちしております。

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