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地方が本社の会社に就職したら、東京支社があっても、本社配属を希望するべき理由。

無料の忘年会を企画

トヨタで半年間の新入社員教育が終わると、配属の希望を聞かれました。本社の企画部門にも憧れたものの、東京での生活は魅力的だったため、東京支社のヨーロッパ部への配属を希望しました。ところが、いざ東京のヨーロッパ部で働いてみると、リクルーターの先輩達から聞いていた世界とはだいぶ違いました。入社してすぐに、「トヨタの本社は豊田市であり、大事な意思決定は、東京ではなく、豊田市で行われているのだ」、ということに気がつきました。思い出してみると、リクルーターの先輩達は、週末を利用して愛知県から出張で東京まで来ていました。

生意気な態度が出ていたのか、東京の職場には全く馴染めませんでしたた。私は身長173cmなので、「態度も身体もデカい新人」と思われていました。新人として、最初に与えられた仕事は部の忘年会の企画でした。出欠を取るとかなり低い出席率です。「せっかく新人が企画しているのに」と悔しくなり、労働組合から出る組合費だけで、無料忘年会にしました。出席率は上がったものの、会社の応接室で行い、実家の北海道から海鮮を取り寄せ、茶碗洗いまで自分でやって「変わっている新人」ぶりがいかんなく発揮された忘年会となってしまいました。

ロケーションより大事なのは仕事の中身

新人時代の東京で過ごした1年は、仕事は生活の手段と割り切ることができれば、恵まれていました。残業はなく綺麗な会社の寮に格安で住めて、東京のアフターファイブは充実していました。でも私は、自分が成長しているという感覚を何よりも求めていました。バリバリ働いている豊田市の本社配属の同期が、東京からは遠い世界に感じました。

豊田市への異動願いを出すか父に相談すると、「寝ている時間を除くと、一日の時間の大半を過ごす仕事の方が、アフターファイブより大事だと思う」と言われました。ロケーションは大事ですが、仕事の中身はもっと大事です。豊田市に引っ越す決心をしました。

リクルーターとしてお世話になった先輩に泣きついたこともあって、豊田市にある海外向けの商品を企画するチームへの異動がかないました。あきらかに態度に問題のある私のような新人にも、セカンドチャンスをくれるあたりが、トヨタの懐の深さだと思います。ヨーロッパに転職して、上司に楯突いただけでクビになるような世界を経験すると、いかにトヨタがありがたい会社だったかがわかります。

ある経営者 が、「なぜだかはわからないが、成功に基づいてやったことは失敗するが、失敗に基づいてやったことはうまくいく」と著書に書いていました。私は、東京というロケーションを重視して部署を選んでしまった経験から、「仕事選びは、ロケーションより仕事内容」という教訓を学びました。

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