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中小企業における知財管理の強化施策(1/3)

1)組織で学習する必要性

前回整理した経営評価の記事をその後ホリホリと深掘りしたところ、特に留意すべきは「知的財産管理≒組織学習≒自己研鑽」である。と仮説を立てるに至りました。組織として事前に知識技術を習得していれば未然に防げたであろう数々の失敗を減らすために今回は全3回にわたりツラツラと記述してまいります。前回のおさらいが気になる方はこちら。

1回目の今回は、そもそもなぜ学習が必要なのか?について簡単に整理しておきます。このなぜ?を表面的に捉えてしまうと、「自己研鑽を積むために学ぶ、すなわち自己成長」となりがちです。これは個人の視点では十分素晴らしいと思います。しかし、学習すること自体を到達地点としてしまうと知財蓄積の対象領域が無作為に分散されてしまい資源効率が極めて悪いです。これはわたしの経験則ですが、自由に学習させた場合のインプットは短中期的には組織としては対費用効果ゼロです。(偉そうに書いてますが、実際にこれをわたしはやっていました。阿呆の極みです…お恥ずかしい限り。)
なので、組織学習は「経営戦略に依拠した方向性」を持った取り組みでなければならないと感じるに至ります(念のため書き記しますがメンバーの足並みを揃える必要はなく、あくまでも方向性に一貫性を持つことが肝要と考えています)。

2)組織的なリスク管理の成熟度


経営戦略とそれに依拠した組織学習の施策の具体的な内容については次回に記載することとして、ここではわたしが中小企業経営をするにあたり漠然と感じている「組織的なリスク管理」とは何か?その成熟度はどのような基準で測るべきか?を整理してみます。

まず長期的な視点でのリスクとは何か?をハイレベルな粒度で改めて整理すると、「無知であるが故の失敗(成功確率の低下)」に対してものすごく焦燥感を抱いています。文字だと分かりにくいので下表の通り整理してみました。

リスク対策における成熟度の整理

表ではリスク管理の成熟度を大きく4分割しています。
これを左右で区分すると、左半分は総じて深刻な管理欠落状態です。

左下: 潜在的課題の存在を認知していないので、対策できていない
左上: 潜在的課題の存在を認知していないが、対策できている

潜在的課題を洗い出せていないため、未然防止施策の見当すらつかない状態でもう出たとこ勝負、しかも勝とうが負けようが運次第です。特に左上は短期的な帳簿上の数値を見て満足する経営者が陥りがちな状態で実は左下よりも危ないのではないかと思っています。表では▲にしており、運も経営者の素質であることは否定しません。ですが経営をするにあたり、この認識論的な管理能力の欠落は是が非でも解消したいリスクだと感じています。

右半分は成熟度が一段階高い状態だと思っています。
右下: 潜在的課題の存在を認知しているが、対策できていない
右上: 潜在的課題の存在を認知しており、対策ができている


右下は有効な施策の特定もしくは特定後の導入・定着が未完了であるが故のリスク管理不備なだけであって途上段階にあり左半分よりマシです。右上は理想の状態です。この状態に到達・維持できるようにしたいものです。

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