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優秀で自信のない子どもたち【後編】

熊本で勉強を教えない学習塾「はらっぱ探究室」を運営するトミマツシホです。このnoteでは、はらっぱ探究室の様子や私が日々「学び」について考えていることを書いていきます。

前回の記事ではPISA2022調査を受けて私の着目ポイントと所感について書きました。その中で、日本の子どもたちは「自信がない」ことに課題がある。と記事の最後で述べています。今日はその続きを。

この自信のなさはいったいどこから来るのでしょうか。

私はある2つの調査を思い出しました。
1つ目は2019年の内閣府調査子ども若者白書です。わかりやすく解説してある記事をシェアします。
日本の若者は諸外国に比べて、自己肯定感が低く、その原因に自分が役に立たないと感じる自己有用感の低さが関わっていると内閣府で分析されています。


2つ目は日本財団が調査した2019年の18歳意識調査です。

日本財団18歳意識調査(2019)による

この調査から、諸外国と比べて日本の若者は社会に対しての意識が全体的に低く、自分で国や社会を変えられると思う割合は著しく少ないということがわかりました。

「自分で国や社会を変えられない」と感じる閉塞感が「自分は役に立たないと感じる」ひいては自信のなさに繋がっているのです。では自信を育てるために何をすればいいのでしょうか。

確かに平成初期生まれの私も日本社会の失われた30年を人生そのままに生きてきて社会に対する閉塞感を感じています。しかしそれでも社会のために何かをしたいという思いが18歳のときにありました。それはおそらく子どもの頃の「自分が役に立った」経験や自分が声をあげることで「社会が変わった」経験がそう思わせてくれたのだと感じています。
役に立つ、社会が変わると言っても何も大層なことではありません。(自分がやりたいと手を挙げた)家事の手伝いで感謝されたことや、部活で理不尽なルールを改訂したレベルの話です。小さい成功体験を積み重ねることで、自己有用感が育ち、適切に自信を積み上げられるのです。

では、家庭の中で子どもたちが役に立てる、周りに影響を与えられると感じる経験を作るにあたって大人ができるサポートはなんでしょうか。それはやはり「やりたい!」「なぜ?」の芽を摘まないということです。そして家庭のルールは子どもも含めて一緒に決めていくことです。

例えばこんなシーンできちんと向き合うことが大切だと思っています。
子どもがお手伝いをしたいと言い出した(けど時間がかかるし忙しい…) →手伝いをさせるもしくは物理的にさせられない時は手伝いたい気持ちを認めて感謝する。
大人はスマホをいつでもいじるのになんで子どもは時間が決まってるの?(と質問された)→「そうだよね、じゃあどんな使い方が子どもも大人も納得いくルールが考えてみよう」

毎日つい忙しくて「忙しいから、〇〇ちゃんが手伝うと時間がかかるから!」や「子どもと大人は違うの!」など言ってしまいがちですが、ここで丁寧に向き合うことで、自分の行動で他人が喜んでくれる、他人は自分の言うことに耳を傾けてくれるつまりは自分が声をあげる意味がある、と小さな成功体験を積めるのです。

いきなり「国や社会」と大きなコミュニティで自分の自分の存在を認めていくことは難しいでしょうが、家庭(や学校、塾)という小さな社会で役に立つ経験が社会への眼差しを育てていくのだと思います。


はらっぱ探究室では「子どもも社会の一員」をモットーに子どもたちでルールを決め、互いに過ごしやすい教室づくりを行なっています。
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