ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第46わ「いつものヤツ」
雑居ビルの屋上に立って日付が変わるのを待つのも、もはやルーティーンの一部となったような気さえしている。実際には、まだ三日目でしかないというのに。
「ダンナ?一体どうしたんで?」
冷たい風を受けながら頭上に輝く青ざめた月を睨んでいると───、後ろに立っている相棒が素っ頓狂な声を出して問い掛ける。どうしたもこうしたもあるか。もうすぐ、お前らの❝ゲーム❞が始まる時間だろう。
「あぁ。今日は、お休みですよ」
休み?
「まだ予選期間が終わっていませんからね。敵対ハントマンを一人やっつけて予選突破した私たちは特にやること無いのですよ」
そういうことは先に言え。とんだ無駄足だった。さっさと帰ろう。
「あ、それは少し難しいですね」
どういうことだ、とは言葉にならなかった。マンハントどもが屋上に這い上がって来るのが見える。それも一匹や二匹ではない。
「連中に住処がバレると面倒です。夜が明けるまで家に戻らないことを推奨します」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?