ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第39わ「仇敵」

承前

俺の右目が潰された。

「片目の男になった気分はどうかな?なかなか男前じゃないか。こういうのをニンゲンの言葉で言うと❝キャラが立った❞とでも言うのかな?」

右目が潰された衝撃は大きいが、その衝撃も更なる衝撃にかき消された。
こいつがゲームマスターか。こいつが俺の両親を❝除外❞した。俺の街をおぞましい狩場へと捻じ曲げた。俺の同級生を死に追いやった。こいつさえ居なければ。

「……おい、何かリアクションをしないか。黙ったまま直立不動するヤツがあるか!」

残された左目にヤツの姿を焼き付ける。姿を変えても、声と匂いで正体を突き止める。今の俺には手も足も出ない。しかし❝ゲーム❞に勝ち進めば、生き残れば、あるいは。

「私に血を吸わせてください。魔女に一矢報いてやれるかもしれません」

隣に立つ相棒の囁き。
俺の血には力が宿るというゲームマスターの説明を思い出す。吸血鬼にとって俺の血は単なる食事には留まらない付加価値がある。

続く

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