ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第77わ「煉瓦の家」
「生物としての願い……つまり本能的なものということですね?」
そういうことになる。
「分かりましたよ!人間には三大欲求というものがあるそうですね?」
そうだ。俺は安全な縄張りが欲しい。枕を高くして眠れる家。吸血鬼に怯えて暮らさなくてもいい街に住みたいと思う。それに勝る望みは無い。
「セッ……あぁ、はい。分かりました。分かってましたとも、ええ」
まぁ、人間の欲望なんて際限の無いものであるし。安全が確保された実感があれば次から次へと欲しいものが湧いてくるのも分かるが、第一に求めるべきは生命の安堵であろう。
「んん、何だか勿体ないですねぇ。安心して暮らしたいだけなら私の領土で暮らせば問題ないですよ?他の願い事は無いんですか?」
俺一人が安穏と暮らしたいだけならそれも良い。それでも俺には家族がいる。友人がいる。進学や就職で、この街を離れる日が来るかもしれないけれど……この街を安全にしてほしい。それが俺の願いだ。
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