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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第16わ「お片付けの時間」

承前

なんてヤツだ。相棒は敵のハントマンをいつでも殺せた。それでも馬乗りからのパウンドに次ぐパウンドで苦しめ続けた。敢えて隙を見せ、伏兵を炙り出す為に。そして今、その伏兵も銀の弾丸を失い、潜んでいたポリバケツごと倒れ込んでいる。これが吸血鬼の戦いなのか。これが❝ゲーム❞なのか。

「いい眺めですね、ニンゲン。確かに銀の弾丸は恐ろしい武器ですが。背後から撃たれたところで、そんな銀玉鉄砲で狙っても私に当たりはしません。仮に当たっても致命傷にはなりませんよ。痛いことは痛いので、ワザと当たるのは嫌ですけどね」

そっちの佐々木は正真正銘、本当の佐々木なのか。俺と同じように、ゲームに巻き込まれたのか。だが、さっき死滅した、佐々木そっくりのハントマンは一体、何だったのか。自在に姿を変える吸血鬼の魔法か。相棒が足を止め、顔だけこちらに振り向く。

「初回ボーナスです。好きなように姿を変えられると言ったでしょう」

それかよ。

続く

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