ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第17わ「見ざる聞かざる」
(承前)
二人三脚で戦うハントマンの声、顔、体型、喋り方、それから服装を好きなようにカスタマイズ出来る❝初回サービス❞。
俺はそれを軽視した。相棒を着せ替え人形みたいに扱いたくなかったから。
そして佐々木は相棒を自分そっくりにカスタムして不意打ちに利用した。
俺が勝てたのが不思議なぐらいだと思う。
「さてさて、それでは勝利の美酒を頂きましょうか」
相棒の嬉しそうな声が、佐々木の呻吟に重なる。片腕で佐々木を締め上げているのだ。空いたままの片腕が恐ろしい。何をする気だ。
「聞いちゃいます?吸血鬼にそれを聞いちゃいますか?」
聞きたくない。見たくない。
「た、助け……て……高遠……」
佐々木は、どうなる?同情からの疑問ではない。❝ゲーム❞に負ければ自分も、こうなる?
獲物を片腕で締め上げたまま相棒が振り返ると俺の両肩に手を乗せる。母親が聞き分けの無い我が子を宥めるように、俺の背中を撫で回す。俺の腰を抱き寄せる。それも同時に。
(続く)
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