ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第82わ「銀の射手」
臆すれば付け込まれる。あるいは、それさえも相手の思惑通りかもしれないが。考えても仕方がない。……前進あるのみ。
「おお、勇気あるニンゲン!まさに勇者!それも、とびきり愚かな……いやいや、冗談だよ、冗談!君に渡したいものというのは……コレさ!!」
ゲームマスターが自分の全身を、あちこちまさぐっている。まるで尻ポケットに入れたはずの家の鍵を探すみたいに。訝しむ暇もあればこそ、彼女の右手には手品のように、あるいは悪夢のように、鈍色の輝きが唐突に出現する。銀玉鉄砲か。その銃口が狙うのは俺の眉間。
「使い方は知っているね?これは銀玉鉄砲じゃない、本当の武器さ」
西部劇のカウボーイよろしく❝本当の武器❞とやらを手元で器用にスピンさせるとアンダースローでこちらに向かって放り投げて来た。慌てて掴み取る。
「便宜的に❝ハンドガンLv:1❞と呼んでいる。本選に進出したプレイヤー全員に同じものを配ることになっているのだ」
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