ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第49わ「最後に残されたもの」
……銀玉鉄砲は遂に弾切れ。俺の人生も、ここまでか。恐怖はあるが、後悔は無い。もっとも、連中の牙が俺の首筋に突き立てられれば、どうなるか分からないが。
「勝手に……!生きることを諦めるのは、やめてくださいますか!?」
相棒、もとい知らない女が人さらいめいて(事実その通りだが)俺を担ぎ上げると、そのまま助走を付けて跳躍する。着地点は……隣のビルの屋上だ。
「嗚呼!まだまだ湧いてきますよ!このまま夜明けまで逃げ切れるか……」
人間狩りも追いかけて来る。このビルに辿り着くまで一分とかかるまい。それにしても相棒、もとい知らない女の息切れは酷いものだ。おまけに胸には杭が刺さっている。……この杭は何だ?
「次のビルまで少し遠いですが、大人しく私にしがみついていてください。……両腕を使ってビルの壁を登攀することになりそうです」
女の白い顔が青ざめる。胸に刺さった杭に驚いた様子は無い。……敵の奇襲ではないということか。
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