ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第48わ「戦って死を待つ」
遂に相棒が自発的に戦闘行動を開始する。いや違う。相棒なんかじゃない。自分の名前も明かさない女を相棒と認めることなど俺には出来ない。
「その、大事なお話をしたいのは分かりましたけども!込み入った話は!家に帰ってからにしません?」
素性の知れない女が人間狩りを(文字通り)ちぎっては投げて、ちぎっては投げる。ルールのせいでニンゲンからの指示が無い限りは集団を一掃するような必殺技は行使できないようだ。それでもパンチとキックだけで上手く戦っている。
「……!このままでは押しつぶされます!私は兎も角、ダンナが……!」
じゃあ俺はここで死ぬ。怪物の家畜として生かされるより、一人の人間として死ぬ方がいい。
「あー!もう!ここまで私を困らせた人間は!ダンナが初めてですよ!」
人間狩りの包囲網は密度を増して迫り来る。倒すよりも増えるペースが早い。つい数日前までは何も知らずに住んでいた町に、これほどの怪物が潜んでいたとは。
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