ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第11わ「速戦即決」
(承前)
俺を抱えてビルの屋上からダイブした相棒が音もなく着地する。衝撃は無かった。膝が笑う。悪寒が止まらない。生きている。一刻も早く自分の足で地面に立ちたい。頼む、下してくれ!離してくれない。そのまま相棒は急加速、あくまで現場に急行するつもりか。
「そこまでですよマンハント!いざ尋常に勝負です!!」
うずくまる女性と、街灯に照らされる❝人間狩り❞の後ろ姿が俺の視界に入って来る。そう思ったのも一瞬のこと。声高らかに、加速を活かした背後からの飛び蹴りがマンハントに命中する。そして俺は、直前に相棒から解放されて───、無造作に放り投げられて五体投地していた。大地の有難みを全身で実感する。ここは戦場だと自らを叱咤して、生まれたての小鹿めいて震えながら体勢を立て直す。戦いは、どうなった?
「やや、今回も楽勝でした!」
視界には相棒と、四散して青い炎に包まれるマンハントと、うずくまっていた女性……。俺の見知った顔だ。
(続く)
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