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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第64わ「老いる身体と死ぬ身体」

(承前)

吸血鬼にとって人間は単なる輸血袋か。分かっていたつもりではあったが認識が甘かったと言わざるを得まい。とんでもない怪物を背負い込んでしまったと改めて感じる。

「あれは❝強行型❞と呼ばれる戦闘スタイルです。ハントマン同士の戦いで足を引っ張るニンゲンの自由を予め制限しておく、最も合理的な戦略です」

確かに合理的ではある。だが相棒の言い方からすると、それが唯一絶対の最適解というワケでもなさそうだ。続く言葉に耳を傾ける。

「他には❝陽動型❞などがありますね。予選でぶつかったダンナの同級生も、このタイプに分類されるでしょう。ニンゲンは姿を隠して不意打ちで戦闘に貢献する、そういう戦略です」

忘れもしない、昨夜のことだ。吸血鬼に襲われた佐々木を助けたと思ったら吸血鬼で、そいつを無力化したと思ったら背後から本物の佐々木に襲われたのを思い出す。

「そのどちらにも当てはまらないのが❝追従型❞ですね。つまり今の我々ですが」

(続く)

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