ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第6わ「娯楽と落伍」
(承前)
「どうして❝食事❞と❝ゲーム❞を両立させようなどと考えたか、ですか。理由は単純です。どちらも我々が生き延びるのに必要だからです」
ナニソレ。お前らは退屈で死ぬの?とは訊けなかった。
肯定されそうで怖かった。
「我々の寿命はあまりにも長いのです。血を飲んで、寝て、また血を飲むだけの暮らしに倦んだ父祖は退屈しのぎにゲームを企てました。領土、領民、財産を賭けた、貴族が貴族として存在するための権利書を賭けた貴族同士の決闘を。そして全ての権利書を失った貴族は……闇に紛れて人を襲う本当の怪物に成り果てます」
貴族と平民の戦い、捕食者同士の潰し合いに俺は巻き込まれたのか。
それでは❝ゲーム❞を降りても現実は変わらない?吸血鬼に怯えて、震える夜は終わらない?
「ゲームを降りるなら私が貴方を守る義務も無くなります。ほら、貴方の喉元に私の手がすぐ届く」
ぞっとするほど冷たい両手。犬歯から目が離せない。
俺は、ここで死ぬのか。
(続く)
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