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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第128わ「児戯」

(承前)

「嗚呼、絞まってます!私の首が絞まってますよ!ダンナもやりますねぇ。どれどれ、私も少し本気を出すとしましょうか……」

顔色一つ変えない、どころではない。吸血女は少しも堪えていないようだ。このままだとマズい。腕を増やして形勢逆転されてしまう。

「あ、私が腕力を以ってしてダンナに対抗すると思いましたか?不正解!」

何だ?何を繰り出す気だ?狼男か、コウモリの群れでも召喚するつもりか。

「どれも不正解!正解は……べろべろ、ばぁー!!」

離脱は出来ない。俺の四肢は吸血女の四肢で拘束されているのだ。何かが起こる。吸血女のシャツが膨らんで暴れる。ボタンが弾け飛んで、白い腹部が露になる。異様な亀裂と肉の塊が現れた。何だ、これ。

「何って。これが本当の❝下の口❞……みたいな」

まるで伝承の二口女だった。否、あれは後頭部に二つ目の口があるのだったか。手術の痕が開いたような亀裂に、唇、舌、そして歯といった部品が備わっている。

(続く)

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